本日紹介させていただく文献は脛骨顆間隆起骨折の処置と予後についてです。
脛骨顆間隆起骨折の処置と予後:福岡整形外科病院 吉本ら 日関外誌 1988
対象は脛骨顆間隆起骨折を呈した33例(男性19例、女性14例)です。受傷時年齢は29.9歳で受賞原因は事故が17例と半数を占めています。合併損傷としては内側側副靭帯、外側半月板、外側側副靭帯が多かったと報告されています。前十字靭帯付着部剥離骨折は29例で、内訳はMeyersの分類を用いてⅠ型7例、Ⅱ型8例、ⅢA10例、ⅢB4例でありⅢAが最も多かったとされています。これらに対し、骨折型や保存療法と手術療法での成績を比較し予後について調査されています。
結果は骨折型による成績の比較では、明らかな有意差は認めなかったとされています。成績不良例では靭帯損傷や他骨折などの合併損傷を認めていたと報告されています。
治療法の比較では保存療法で86.4点、手術療法82.6点と有意差を認めず、合併損傷の有無による成績の比較では有意に合併損傷を有する群に成績が低かったと報告されています。
これらの結果から顆間隆起骨折の予後には合併損傷の有無が大きく関与していることがわかります。これらは単に合併損傷があることで決まるのではなく、どの組織が損傷することで機能低下が起きているのかということを考えなければいけないことを示唆していると思います。そのためには画像所見から損傷組織を同定し、理学所見を組み合わせることで問題と向き合うことが重要であることを再認識しました。顆間隆起骨折は比較的多い疾患ではないですが、合併損傷の有無は骨折全般に重要だと言えることだと思いますので、今後の臨床でも組織の鑑別、画像診断能力向上に努めて行きたいと思います。
投稿者:小林 駿也
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2018年6月2日土曜日
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