今回は後方アプローチで行ったTHA後の外旋筋力の変化について検討された文献について紹介させていただきます。
北島将他:後方アプローチを用いた人工股関節全置換術前後の外旋筋力の回復率整形外科と災害外科.65(1):10-12.2016
対象は平均年齢70歳の男性4股、女性18股で、徒手筋力計を用いて股関節の屈曲・伸展・外転・内転・外旋・内旋を測定し、術前後で比較しています。
結果ですが、THA前後では内旋筋力のみ有意な増加を認めたと報告しています。術後半年と1年の比較では、屈曲と外旋は改善傾向ではあったが、全て有意差は認められなかったと報告しています。また、外旋筋力が術前レベルまで改善した症例は、全体の58%であったと示されています。
後方アプローチにおけるTHAでは、外旋筋群の一部を切離して展開をします。そのため、後方アプローチにおいては外旋筋群の修復が術後の脱臼率を減少させるという報告がされています。THAのリスク管理として脱臼予防は重要ですが、この文献から脱臼予防の指標として外旋筋力も参考になるのではないかと感じました。
手術方法を知ることは、術後理学療法を進めていく上で重要な知識になります。手術に対する知識の構築も重要であることが再認識できました。
投稿者:高橋 蔵ノ助