青木 保親ら:腰椎椎間板ヘルニア. Orthopaedics,Vol.28.No10:52-60.2015.
この論文では腰椎椎間板ヘルニアの保存療法を行うにあたり重要と考えられる知識について大きく3つ述べられています。
1.椎間板が突出していても症状を引き起こすとは限らないこと。
2.椎間板ヘルニアは自然経過で退縮することがあること。
3.危険な兆候があれば手術を検討する必要があること。
以上3点を念頭において治療を進めることが重要であると述べられています。
線維輪の断裂が起きて髄核が椎間板外に脱出してしまった状態、もしくは線維輪が非生理的に膨隆している状態が解剖学的な(形態上の)ヘルニアです。臨床においてMRI画像上では形態上のヘルニアが確認できますが無症状であることも多く経験します。また、腰痛や下肢痛、しびれを訴える患者さんでMRI画像上椎間板ヘルニアが確認できても、理学所見では画像所見とマッチングしない症例もあり、他の病態が混在しているケースも多く経験します。しかし診断は椎間板ヘルニアで理学療法の指示がでることも経験します。
このような症例を多く経験する中で、画像所見にとらわれて他の病態を見落としてしまうと運動療法に反応せず評価の重要性を日々痛感します。カンファレンスなどでご指摘頂き他の所見を見落としていることに気づかされることもあります。
当たり前のことですが、患者さんの病態に応じた運動療法が選択できる理学療法士になり、1人でも多くの患者さんをよくできるよう日々勉強していこうと思います。
投稿者:大渕 篤樹