COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について

整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2016年1月28日木曜日

【論文紹介】前十字靭帯の力学的特性評価について

本日は前十字靭帯の力学的評価を加える負荷の種類を変えて行った研究論文を紹介します。


高柳津富ら:引張りおよび引張りねじり試験によるブタ前十字靭帯の力学的特性評価.日本臨床バイオメカニクス学会誌.Vol25167−1712004

 靭帯損傷は過度な外力負荷が加わることによって起こるとされています。本論文によって取り上げられている前十字靭帯損傷は若年層に多く、運動時に接触・非接触ともに損傷の原因となります。中でも非接触損傷は特異的な動作によって損傷され、その動作による外力はねじり負荷を伴っていることが多いです。
 そこで、本論文は引張りのみで負荷を与えた時と引張りにねじりを加え負荷を与えた時の最大負荷、剛性、変位の変化について比較し研究されています。
 結果は、ねじり加わることで前十字靭帯の耐久負荷量が有意に低下しました。この結果を、筆者らはねじり負荷を与えることによる剪断力の増加や反復負荷によるマイクロダメージの影響と考察しています。
 このことから、靭帯は剪断力が加わることによって損傷しやすくなり、その負荷が反復されることで靭帯は脆弱化することが考えられました。靭帯損傷や靭帯再建を行った症例に対し、剪断力が生じにくい身体バランスを整えることの重要性を考える論文でした。

投稿者:中井亮佑

 

2016年1月24日日曜日

第104回 整形外科リハビリテーション学会京都支部開催

第104回 整形外科リハビリテーション学会 京都支部が開催されました。









内容:
症例検討『腓骨筋腱脱臼に対してDu Vries法が施行された一例』
京都下鴨病院 中井 亮佑先生





レクチャー1『アキレス腱断裂について~運動療法を考える~』
京都下鴨病院 為沢 一弘先生




レクチャー2『長母指屈筋の触診』
京都下鴨病院 団野 翼先生











症例検討では、現在出現している疼痛の解釈と、今後の運動療法について検討しました。
今回施行されたDu Vries法は、腓骨筋腱が外果との間に形成された仮性嚢内に逸脱することを防ぐために上腓骨筋支帯を縫合し、さらに腓骨を切り移動させることで閉鎖し、元来の解剖学的構築を回復させるものです。

今回の症例は、他動運動時・安静時に関係なく手術部に疼痛が出現しており、腓腹神経領域のしびれも出現していました。
部分荷重が許可されてはいるものの、疼痛のため5kg程度の荷重しか行えていない状態です。

あまり経験しない症例ではありましたが、本学会のコンセプトでもあるように、解剖に忠実に考え検討を進めました。評価結果から神経性の疼痛である可能性が高く、骨を後方に移動させていることで外果の周径が延長されているため、ここを通る腓腹神経がが滑走できていないのではないかということと、長・短腓骨筋の伸張性が不足していることが神経の滑走不全を助長しているのではないか、また腱自体の滑走も必用になってくるのでこの組織の機能改善が必用ではないかという結論となりました。中井先生には、今回出た意見を参考に評価・治療を進めていって欲しいと思います。










レクチャーでは、為沢先生からアキレス腱についての詳しい解剖を、文献や機能解剖学的な視点から講議して頂きました。
また、アキレス腱周囲に存在する組織で特にポイントとなりやすい長母指屈筋の触診を団野先生にレクチャーして頂きました。普段、足部の患者さんでは治療ターゲットとなりやすいFHLですが、丁寧に触診していくことで周辺の神経やKFPとの関連も見えてくるので触診技術の向上はとても重要であると改めて感じました。










今回の京都支部は、参加者25名と多くの先生に集まって頂きました。
院内だけでは、固定した考え方しか出ないので他院の先生方とデイスカッションすることは大変勉強になります。
ぜひ、気軽に参加していただけたら嬉しく思います。





次回は
平成28年3月26日(土)の予定です







投稿:一志 有香

2016年1月9日土曜日

第104回定例会案内

あけましておめでとうございます。

整形外科リハビリテーション学会 滋賀支部・京都支部
第104回の定例会のご案内をさせていただきます。


開催日:平成28年1月23日(日)



滋賀支部
時間:受付15時30分〜、開始16時、19時30分予定
会場:生田病院 1階 リハビリ室
レクチャー:「肘関節周囲組織の触診」
         山内辰也先生(あずま整形外科)
      
       「上腕骨遠位端骨折について」
         奥山智啓先生(ひぐち整形外科クリニック)


京都支部
時間:受付18時〜 開始18時30分
会場:京都下鴨病院 2階 リハビリ室
症例検討:募集中
レクチャー:「アキレス腱断裂について」  為沢一弘先生(京都下鴨病院)
      「アキレス腱周囲の触診」   團野翼先生(京都下鴨病院)



症例検討も募集中です。

症例検討応募フォーム⇒http://ohmi-rigaku.jimdo.com/症例検討応募/

ホームページ⇒http://ohmi-rigaku.jimdo.com



滋賀支部・京都支部ともに同日に開催させていただきます。
本年も両支部を宜しくお願い致します。

2016年1月8日金曜日

文献紹介:上腕二頭筋長頭腱障害は腱切除と腱固定どちらが良いのか?

本日は上腕二頭筋の外科的処置に関する文献を紹介します。


Jamie L et al: Biceps Tenotomy Versus Tenodesis in Active Patients Younger Than 55 Years . Orthop Jour sports med3(2) : 1-6 , 2015 

 本日は、55歳以下の活発な患者の上腕二頭筋長頭腱障害に対し腱切除と腱固定の術後成績を比較した文献を紹介します。上腕二頭筋長頭腱は、肩関節の疼痛の原因となることが多く、一般的には関節鏡手術が行われます。上腕二頭筋長頭腱の病理学的特徴や外科的処置の方法に関して、著者によって様々な意見があり統一した見解が得られていません。
 本文献は、上腕二頭筋長頭腱障害の正診率を検討した後、筋力測定及び疼痛等患者の主観的評価を調査し、腱切除を行った群と腱固定を行った群に分け比較されています。

 腱固定群の方が疼痛は低値を示したものの、機能面においては差がなく、どちらの処置が有用であるか明確な答えは得られなかったとされています。筋力に差が得られなかったことから、55歳以下の活発な上腕二頭筋長頭腱障害を有する患者に対し、腱切除か腱固定かどちらを選択する基準となるのか、興味を持つ論文でした。今後も検討を重ねたいと思います。

投稿者:中井亮佑



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