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2023年8月17日木曜日

【論文紹介】遠位腸脛靭帯深層に存在する滑膜組織(Lateral synovial recess)について

下腿外旋拘縮が存在する症例では、ITTカプラン線維をはじめ、ITTと大腿骨幹部の間の空間や谷とITTの間の滑りが悪く、硬さを感じることがあります。そのため、その周辺解剖について調べています。この論文は、腸脛靭帯炎の観点から説明されたものになりますがcadaver、関節鏡視所見、画像所見、組織学的所見から構造を述べているため紹介します。









【背景】
慢性の腸脛靭帯症候群患者が外科的治療にてITBと大腿骨骨幹部との摩擦や剪断を軽減するために筋膜の一部を切除した際に、ITBの深部に滑液包や関節包のような組織があることが指摘されている。外側陥凹滑膜(Lateral synovial recess:LSR)の最も古い描写は、BrantiganとVoshellの論文に見られる。後にGray's Anatomy (1977)に掲載された写真にも、膝関節滑膜の外側への拡張が描かれている。しかし、これらには、腸脛靭帯(ITB)、大腿骨外側骨幹部、実際の関節包に関連するこの構造について説明した文章や考察はない。


【目的】
LSRの解剖学的および病理学的データを収集し、膝関節包との滑膜のつながりを示し、慢性腸脛靭帯症候群におけるLSRの関与を明らかにすること。


【対象と方法】
cadaver8名、人工関節置換術35件、関節鏡検査350件、それぞれでLateral synovial recess(LSR)が観察され、MRI検査にて画像所見との一致も検討された。すべての症例で、組織は組織病理学的研究を行なった。

【結果】
LSRは、膝関節の鞍上滑液包の関節包と連続した関係にあることが明らかになった。
また、LSRを構成するITBの下の関節包の陥入や折りたたみも確認できる。凹部には、滑膜組織のひだが少なくとも1つ、LSRの下側に向かって肉眼的に認められる。この襞の形状はやや変化に富み、単一の垂直な肥厚として現れたり、内側滑膜ひだによく似た中隔縁を持つV字型の構造として現れたりする。
LSRとITBの間に別の滑液包は確認されなかった。従って、中胚葉性の滑膜構造を持つため、病理組織学的に滑膜組織である可能性が高い。
慢性腸脛靭帯症候群におけるLSRを正常な膝関節滑膜と比較すると、統計学的に有意な組織病理学的変化が認められた。これらの変化は慢性炎症、過形成、線維化、ムコイド変性からなる。これらの異常は、過度な剪断や慢性的な刺激を受けた軟部組織で見られるものと一致する。この観察から、膝関節滑膜が慢性ITBFSの過程に関与している可能性がある。


【結論】
LSRは、膝関節の関節包と膝蓋上滑膜腔が外側に拡張したものである。この滑膜組織は腸脛靭帯の下に入り込み、ITBと大腿骨外側骨幹部との間のインターフェイスとなる。この構造的関係により、LSRは滑液包のように機能し、ITBが最小限の剪断で骨幹部上を動くことを可能にしている。慢性の腸脛靭帯症候群では、この滑膜組織が炎症を起こし、過形成となる。





投稿者:尼野将誉







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