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整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2018年9月2日日曜日

【文献紹介】内側縦アーチ低下群と正常群の歩行時形状変化の検討

本日紹介させていただく文献は内側縦アーチ正常群と低下群の歩行時のアーチの形状について検討した文献です


清水新悟他:内側縦アーチの低下群と正常群の歩行形状変化の検討.スポーツ産業学研究23(2):183-189,2013

歩行時における正常アーチ群と内側縦アーチ低下群と足部アーチの形状変化と床反力を検討することを目的としています。
方法は内側縦アーチを算出し、先行研究から男性15.7±0.7%、女性13.5±1.1%以下を扁平足としています。一歩踏み出してもらった後ろ足を計測しています。比較したphaseは踵接地、足底接地時、立脚中期、踵離地、つま先離地です。検討項目は内側アーチ角(踵部内側、舟状骨、第1中足骨頭を結ぶ角度)、第1中足骨角(舟状骨、第1中足骨頭、第1基節骨頭を結ぶ角度)、床反力です。
結果は内側アーチ角は低アーチ群の方が大きく、第1中足骨角は有意差を認めませんでした。内側縦アーチの変化に関しては立脚中期から踵離地までの内側アーチ角の変化が低アーチ群は小さい結果となりました。
床反力は後足部で左右方向成分は立脚中期に低アーチ群が内側に有意に大きい値を示しました。前足部では低アーチ群は正常アーチ群と比較して踵接地からつま先離地において床を後方へ押す力が弱い結果とまりました。
踵接地,立脚中期,踵離地にて低アーチ群で内側アーチ角が大きい結果であったが、第1中足骨角は有意差なしであり、アーチの形状変化は低アーチ群のほうが変化が小さかったことから、低アーチ群はスプリング機能が低下してると考えられます。
床半力の結果から前足部における床を後方に押す力の弱さは推進力の低下につながると考えられます。後足部に関しては立脚中期に左右方向成分が内側方向に向いていることから、足部が回内していることが考えられます。
ショパール関節は足部回内で柔軟な足に、回外で固い足になることでスムーズな歩行を可能にしていると言われています。アーチの低下によってこれらバネ剛性が失われ、前方移動がスムーズにできないと筆者は考察しています。

内側縦アーチの低下によってスプリング機能が低下するため、足部の機能障害が引き起こされることが予測されます。また、後足部の回内は有痛性疾患にもつながります。
今回紹介させていただいた文献ははアーチの低下群の形状変化についての検討でしたが、背屈制限やその他の関節からの影響でアーチの低下や後足部の回内が生じることもあります。これらの形状変化がどのような背景で生じているのか詳細に評価していくことは非常に重要であると考えられるます。

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