COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について

整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2018年1月28日日曜日

第122回京都支部定例会

昨日第122回京都支部定例会を行いました。
今回は京都下鴨病院の為沢一弘先生に「股関節のスポーツ障害に対する運動療法」についてレクチャーしていただきました。




今回は股関節障害の中でも鼠径部痛症候群(groin pain)を中心ににレクチャーして頂きました。

実技は京都下鴨病院の佐々木拓馬先生に腸骨筋、大腰筋の触診をレクチャーして頂きました。
鼠径周辺部痛については、 今でも診断・治療の困難な未解決の問題と して世界的に知られており、サッカー選手で多く発生します。鼠径部痛の原因は様々で病態解釈が難しく運動療法をすすめるにおいても難渋することが非常に多いと思います。
今回学んだ鼠径部周辺の機能解剖やgroin painの臨床的特徴をおさえ、今後の臨床に活かしていきたいと思います。

次回の京都支部定例会は3月31日「腰部のスポーツ障害に対する運動療法 分離症・仙腸関節」となっています。
2月は整形外科リハビリテーション学会の関西全国研修会が行われます。
詳細は整形外科リハビリテーション学会ホームページを見ていただければと思います。

2018年1月25日木曜日

【文献紹介】Lateral releaseと膝蓋大腿関節Gapとの関連性


本日は、TKA施行時のLateral releaseと膝蓋大腿関節(以下PF関節)の関係について書かれた文献について紹介させていただきます。
近藤 桂史他:人工膝置換術時のLateral releaseと膝蓋大腿関節Gapとの関連性
整形外科と災害外科58:(3351354,2009

TKA時に良好な膝蓋骨トラッキングを獲得する為のLateral releaseは通常よく行われる手技の一つとされています。Lateral releaseによる大腿脛骨関節への影響は数多くの報告がなされていますが、PF関節への影響について書かれた論文は少ないです。

本文献では、PF関節を開大させることによって生じる距離をGapと定義し、このPF関節GapLateral release前後で計測しています。

対象は、変形性膝関節症の診断にてTKAを施行されたものであり、Lateral releaseは外側上膝動脈・下膝動脈間でconventional extra synovial lateral retinaculum releaseが行われています。PF関節Gaprelease前では膝関節伸展位、release後は膝関節伸展位・30°屈曲位で行われています。

 結果は、Lateral release前と比較しrelease後の膝伸展位でのPF関節のGapは有意に増大し、屈曲位ではrelease後の膝伸展位でのPF関節Gapと比較して有意に狭くなっていたそうです。

本文献を読んで、Lateral releaseを行うことでPF関節の裂隙間距離が拡大したことから、TKA術後の拘縮予防として膝蓋骨の浮き上がりを改善させておく重要性を改めて痛感しました。また、膝伸展位でPF関節のGapの拡大があったとしても、膝30°屈曲位ではGapは減少しており、Lateral release前とほぼ同等の数値を示していたため、膝伸展位でだけでなく、膝屈曲位でも膝蓋骨の生理的運動が阻害されないよう拘縮予防を行っていく必要性を再確認しました。

明日からの臨床に活かしていきたいと思います。

投稿者:鷲見 有香

2018年1月15日月曜日

【文献紹介】腱板断裂における肩甲骨・肩甲上腕関節の動態解析

本日紹介させていただく文献はMRIを用いて肩関節の動態について検討された文献です。


建道寿教他:腱板断裂おける肩甲骨・肩甲上腕関節の動態解析−Open MRIを用いた検討−.肩関節27(3):425−429,2003

目的は腱板断裂における肩甲骨の傾き・動態について3次元的に検索し、第2肩関節での腱板の通過状態を調べることです。
対象は腱板断裂症例(腱板断裂群)15例、健常者(健常群)15例です。腱板断裂群は全例120°以上挙上可能で、術後症例です。
測定はOpen MRIを用いて行われています。
測定項目は上方回旋角、内方傾斜角、前後傾斜角、3D AHIです。
結果は以下の通りです。
上方回旋角:腱板断裂群では肩甲骨の上方回旋が挙上早期に増加する傾向がみられました
内方傾斜角:健常者と腱板断裂症例に置いて統計学的有意差は認めませんでした
前後傾斜角:腱板断裂症例において後傾への変化が少なかった
3D AHI:腱板断裂症例は健常者と比較して小さくなっていました(最小値を示したのは90°挙上位)
本研究の腱板断裂群は拘縮の強くない症例を選択し、下垂位にての状態も正常群と比較し有意差がないものと考えたと述べています。
断裂群において肩甲骨の後傾不良という結果が得られたが、これは拘縮や内圧により影響されるものではなく、腱板断裂という肩甲骨の上腕骨を連結させる筋腱の機能不全やimbalanceにより引き起こされる現象の一つであると考えられたと述べています。



今回紹介させていただいた文献の対象は拘縮が強くない症例でした。それでも肩甲骨の動態は肩甲骨の後傾は健常者と比較して小さい値を示し、有意差を認めていました。
健常者では挙上に伴い、後傾方向への運動が円滑に行われ、肩峰下腔に余裕があるが、腱板断裂症例においては後傾方向への変化量が少なく、肩峰下腔の狭小化が認められたと過去に報告されています。これらの報告からも肩甲骨の後傾可動域の獲得重要であることが分かりました。




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