2017年10月開催−第119回定例会− 「腰痛⑴ 屈曲時痛の解釈と評価のポイント」

講師:團野 翼 先生(京都下鴨病院)
日時:平成29年10月28日 土曜日 18時受付 18時30分開始
会場:京都下鴨病院2階 リハビリ室
定員:24名限定(要事前申込、先着順)
参加費:本学会会員無料、会員外500円
参加申込受付期間:10月1日から開催2週間前まで



第6回関西支部合同全国研修会「足関節周囲の機能解剖学的触診と治療」

日時:平成30年2月24日 土曜日・25日 日曜日
会場:尼崎リサーチ・インキュベーションセンター
定員:100名(要事前申込、先着順)
参加費:本学会会員23,000円、会員外25,000円
参加申込受付期間:平成29年11月1日から定員になり次第終了



2017年10月15日日曜日

【文献紹介】正常腱骨付着部形成と腱板縫合後腱骨間治癒過程の三次元超微形態解析

本日紹介させていただく文献は腱板の正常な付着部と縫合後の付着部を三次元超微形態解析した文献です。



金澤知之進:正常腱骨付着部形成と腱板縫合後腱骨間治癒過程の三次元超微形態解析.久留米医学会雑誌80(4,5):117-127,2017


正常腱骨付着部→力学的ストレスを分散できるように腱線維が幅広く広がりつつ骨に付着
        4層構造を呈している(腱-非石灰化軟骨-石灰化軟骨-骨)。
縫合術後の付着部→腱表面の錨着により力学的強度を保持

今回ラットで急性腱板損傷を作成し、縫合術をを施行し付着部を観察しています。
正常もラットの付着部を観察しています。

正常腱骨付着部の形成過程は出生後に生じる劇的な力学的環境変化にさらされることにより、コラーゲン線維束、細胞の形態や分布を含めた組織構築もスムーズに成熟させていき、同時に腱骨付着部に存在する細胞群は出生後約4週の間にその細胞形態をドラスティックに変化させていると報告しています。
縫合術後の4,8,12週の各週数において力学的評価として引張破断試験を行なっています。
週数を経るに従い最大破断応力は有意に増加したが、術後12週の時点でも以前正常付着部と比較して有意に低かったと報告しています。
また、光学顕微鏡による観察では血管線維性組織が介在し、コラーゲンの生成や配列は未熟であり、これも正常とは異なる組織構造であったと報告しています。

筆者は、縫合術後の付着部形態や治癒過程が正常な付着部と異なることが異なっていることを報告し、今後際断裂を起こさないために、腱骨間治癒過程に存在する細胞群やコラーゲン線維束に対して、正常付着部形成過程を経た構造を模倣するよう誘導していく必要があると述べています。


腱板の治癒過程についてはいくつかの報告がなされており、6週以降から瘢痕組織に覆われ、強度が増してくるとの報告もあります。
今回の報告は12週までの検討であり、時間を経るにつれて強度は増してくるが、12週の時点でも正常の強度に達していないことに加え、組織学的にも異なる形態であることがわかりました。
術後の大きな問題の1つとして再断裂が報告されており、リハビリも慎重に行う必要があります。どのくらいの時期にどのくらいの強度であるのか、破断強度を知っておくことはとても重要であると感じました。これはARCRに限ったことではなく、靭帯再建や縫合術後においても同様のことが言えるため、これらが検討されている文献を読んでいく必要があると感じました。







2017年10月10日火曜日

【文献紹介】撓骨遠位端骨折掌側ロッキングプレート固定術後の長母指屈筋腱断裂

 今回は、撓骨遠位端骨折に対してロッキングプレート固定が施工され、術後に長母指屈筋腱(以下FPL)が断裂した症例について検討されている文献を紹介させていただきます。



三原惇史他:撓骨遠位端骨折掌側ロッキングプレート固定術後の長母指屈筋腱断裂.整形外科と災害外科.63(1)47-50.2014


 筆者は3症例提示されており、いずれの症例も撓骨遠位端骨折後に掌側ロッキングプレートによる固定を施工されています。術後平均17.5ヶ月後にFPLを断裂されており、それぞれに対して腱移行術(長掌筋腱or環指浅指屈筋腱)を施工されていました。3症例とも、腱移行術後の可動域改善は良好とされていました。


 FPL断裂は撓骨遠位端骨折に対して掌側ロッキングプレートによる固定術を行われた患者様の合併症として、諸家によって多数報告されています。原因としては、プレートの遠位設置や整復不良など複数の報告が散見されます。また、プレートの遠位設置は橈骨のwatershed lineより遠位に設置することで、直接FPLと接触し、疼痛を惹起するという報告も見受けられます。また、FPL断裂の前駆症状として、手関節掌側部の違和感や疼痛を訴える場合や、これらの症状を伴わない、無症候性の場合もあるとされています。


 中にはこれらに対して、骨癒合後の早期抜釘により、FPL断裂を防ぐことが可能ではないかと報告されている方もいらっしゃいます。しかし、撓骨遠位端骨折の関節内骨折の骨癒合時期は約56週という報告もあることから、理論上抜釘を行うには、少なくとも術後約2ヶ月後となることは容易に考えられます。この期間骨癒合を最優先し、何も動かさないとなると、手関節の拘縮が生じるのは目に見えています。


 以上のことから、掌側ロッキングプレートを施工された場合、FPL断裂のリスクを第一に考えると、術後のFPL拘縮予防や、周辺軟部組織との癒着は必ず行うべき理学療法だと考えられます。


 FPLは手根管内を走行し、深指屈筋や浅指屈筋、橈側手根屈筋など多くの軟部組織と密接していることに加え、筋腱移行部周辺では方形回内筋などの軟部組織とも密接しています。掌側ロッキングプレートによる固定では、これらの軟部組織にも影響が生じるため、FPLとの癒着予防も大事になってくることが考えられます。


今後も、術後に起こりうる合併症をどのようにして理学療法によって予防・改善できるのかを深く考察していきたいと思います。



投稿者:高橋 蔵ノ助

2017年10月9日月曜日

【文献紹介】烏口上腕靭帯の肩甲下筋腱付着部に関する解剖学的研究

本日紹介させていただく文献は烏口上腕靭帯と肩甲下筋付着部の解剖をみた文献です


吉村英哉他:烏口上腕靭帯の肩甲下筋腱付着部に関する解剖学的研究:その意義について.肩関節25(3):707-710,2011


対象は解剖実習体10体20側です。腱板疎部周辺を観察し、CHL,肩甲下筋の付着部を観察しています。
結果は肩甲下筋の最頭側部は小結節凸面と結節間溝に強固に停止していました。CHLの烏口突起から起始する線維は肩甲下筋の最頭側部を前面と後面から挟み込むような形で走行しています。
この線維の付着部は上部な関節窩より近位内側、下方は小結節を超えて肩甲下筋下部の筋線維に停止します。
腱板疎部周辺は層構造を成すと報告しており、CHLは後方で棘上筋の上面と下面を覆っており、肩甲下筋腱の部分では前面と後面を覆う形で走行しています。
上腕骨運動に伴ったCHLの変化として内旋位で弛緩、棘上筋の付着してくる線維は屈曲で弛緩、外旋位で伸張、肩甲下筋腱に付着してくる線維は伸展で伸張しました。
筆者は解剖学的特徴からCHLは肩甲下筋最頭側部の安定化に関与することが示唆されたと述べている。また、内旋させた際にたわむ肩甲下筋をCHLを内上方に引き上げ、形状を保つ役割も果たしていると述べている。
肩関節挙上最終域ではCHLが緊張し、これにより肩甲下筋腱上部と結節間溝の樋構造(CHLとSGHLが連続して構成された膜様構造)が緊張することでLHBの安定化作用を発揮すると考察しています。


腱板疎部周辺の解剖の論文を見ていくととても複雑な構造をしていることが分かります。
腱板修復術でCHLに侵襲がある症例を経験します。CHLを拘縮させてしまうと、その後可動域にかなり制限が出ることに加え、治療も大変になることが予測できます。腱板の修復期間に過度なストレス加えずにCHLの拘縮予防に努める必要があり、さらに機能解剖学的知識を深める必要があると感じました。


第44回日本肩関節学会

10月6日〜8日の3日間、グランドプリンスホテル新高輪で行われた第44回日本肩関節学会・第14回肩の運動機能研究会に参加してきました。
京都下鴨病院から小野志操先生と團野翼先生が発表され、烏丸御池整形外科クリニックから永井教生先生と服部隼人が参加しました。




小野志操先生
「リバース型人工肩関節置換術後可動域改善に対する工夫とその効果」

團野翼先生
「反転型人工肩関節置換術後の上肢挙上可動域に影響する因子の検討」

リバース型人工肩関節は平成26年4月から日本で使用可能となり、今年で3年目になりますが機種の多様化、術中での工夫する点、長期成績など数多くの演題がありました。また肩の運動機能研究会においても症例報告や画像所見から可動域に関わる因子についての検討、シンポジウムでの一括討議などがあり、とても内容が豊富でした。当院においても症例数が増えており、今後の運動療法に活かせるよう、更なる知識・技術の研鑽が必要であると感じました。

投稿者:服部隼人

2017年10月3日火曜日

【文献紹介】人工膝関節全置換術における膝蓋骨アライメントと術後可動域


本日は、人工膝関節全置換術における膝蓋骨アライメントと術後可動域について書かれた文献を紹介させていただきます。


稾 賢一ら:人工膝関節術における深屈曲縫合後の膝蓋骨アライメントと
術後可動域の関係 中部整災誌 Vol.52(2009)95-96

本文献は、膝蓋骨非置換TKA症例を対象に深屈曲縫合後の膝蓋骨アライメント変化と術後可動域の関係について検討されています。

術後平均観察期間は14.1ヶ月であり、手術方法は内側傍膝蓋アプローチにて展開し、機種はBi-Surface kneeを使用しています。検討項目は、JOAPF関節痛の有無、膝蓋大腿関節痛の有無及びROMを、X線評価としてFTA、膝蓋骨厚(PD)、Insall-Salvati比(I-S比)と、膝蓋骨のtilting angleTA)、外方偏位(LS)およびPF関節の接触を術前と経過観察時に測定しています。

 結果の一部を紹介させていただきます。
術後平均ROMは改善したが、不良例も数症例認めていた。ROM変化例と不良例を比較すると、改善不良例はPDが有意に高く、I-S比が有意に低い結果であった。また、TAおよびLSは術後増大を認めたがROMとの関係は認めない結果であったと報告しています。

 この文献を読んで感じたことは、TKA術後の膝蓋骨周囲組織に対するアプローチの重要性でした。本論文においてPDが厚くI-S比が低い症例はROMが不良であったとの報告から、術後PF関節や膝蓋靭帯部での拘縮はROM制限につながることが考えられ、膝蓋骨周囲の軟部組織や膝蓋靭帯及び深層組織の滑走性かつ柔軟性の改善がROM獲得に必要であることを再認識しました。
TALSROMへの影響については、BindelglassらはTKA術後TALSが悪化したとし、膝蓋骨傾斜と術後屈曲角度との関連は乏しいと報告しており、一定の見解は得られていません。

今後さらにTKAについて調べ、良好な可動域を獲得できるよう知識・技術共に日々研磨していきたいと思います。

投稿者:鷲見 有香

2017年10月1日日曜日

【文献報告】等尺性収縮を用いた肩関節ROM訓練

本日紹介させていただく文献は拘縮肩に対して等尺性収縮の効果を検討した文献です。

林典雄他:等尺性収縮を用いた肩関節ROM訓練−ストレッチングとの比較−.理学療法学17(5):485-489,1990


対象は肩関節周囲炎と診断された屈曲100°以下の拘縮肩33例です。
ストレッチ群と等尺性収縮施行群の2群で理学療法介入後の屈曲可動域を比較しています。
結果はストレッチ施行群と比較し、等尺性収縮施行群において有意に可動域が増加していました。
筆者は、拘縮肩の一要因として筋腱移行部でのコラーゲン沈着をあげています。
これに対して等尺性収縮を用いることでストレッチ刺激が効率よく加わることで可動域が増加したと考察しています。
可動域が改善したもう一つの要因として、等尺性収縮による熱生産により筋の粘弾性が低下することをあげています。


拘縮肩は臨床の中でもよく経験する疾患です。
その拘縮が攣縮なのか癒着なのかコラーゲン沈着なのかによって治療の介入方法が異なると思います。
詳細な原因を見つけるとともにそれらに対して適切な治療が行えるように、正確に評価できる知識と技術、拘縮の理解を深めていく必要があると感じました。


2017年9月24日日曜日

第26回整形外科リハビリテーション学会学術集会

昨日、今日と整形外科リハビリテーション学会学術集会が行われました。
当院から演者として4人が発表させていただきました。



團野翼先生
「肩関節挙上時に肩後方から肩甲帯に出現した疼痛の解釈
〜肩甲上神経の解剖学的特徴に着目して〜」

中井亮佑先生
「変形性肩鎖関節症における疼痛の解釈〜肩甲上腕関節の拘縮の影響〜」

堀内奈緒美
「足部多発骨折後に続発した感覚障害に対する評価と治療
〜内側足底動脈の血流障害が感覚障害の原因であった一症例〜」

佐々木拓馬先生
「外側半月板切除後に生じた後外側部痛の解釈」


それぞれの演者に対する質疑の多さや、興味深い研究・症例報告があり、とても刺激ある2日間でした。
私は今回演者として参加させていただきました。
質疑応答の時間にはたくさんのご質問をいただき、終わった後も個人的にご質問やアドバイスをいただき勉強になったと共に解釈しきれていない部分や評価不足のところがあり、今後の課題となりました。

明日からの臨床ではこの2日間で学んだことを活かしていきたいと思います。
1症例ずつ丁寧に診ていき、多くの患者さんを治せるように知識・技術を高めていきます。

投稿者:堀内奈緒美


2017年9月20日水曜日

【文献紹介】橈骨遠位端掌側ロッキングプレート治療における可動域制限の原因について

本日は橈骨遠位端掌側ロッキングプレート治療後に抜釘術を行い、どの術中操作が可動域の改善に関与したのかを報告している文献を紹介させていただきます。





石井ら:抜釘術から考える橈骨遠位端掌側ロッキングプレート治療における可動域制限の原因.骨折.39No.3 2017

近年、抜釘術により臨床成績が改善したとする報告が散見されているという背景から抜釘術のどの術中操作により可動域が改善するのかについて検証されています。

対象は男性7例、女性29例で抜釘まで平均327日、最終経過観察までは平均428日です。
抜釘術中に手関節、前腕の可動域を測定しています。
術中操作と可動域測定タイミングは尺骨側の抜釘時、橈骨の抜釘での展開後に尺側手根屈筋腱を剥離時、屈筋や屈筋腱剥離時、遠位ロッキングスクリューを抜釘するためプレート遠位を周囲組織と剥離した時、プレート近位部の剥離とプレート抜去時です。
健側比を麻酔下かつ展開前の可動域と比較し評価されています。

術中操作のうち、尺骨側の抜釘から橈骨側展開後に尺側手根屈筋腱まで展開した時のどちらも手関節可動域に変化はなかったと報告しています。
それ以降の操作では屈筋、屈筋腱の剥離により背屈可動域は有意に変化しており、掌屈可動域はプレート遠位部の剥離とプレート近位部の剥離、プレート抜去により有意に改善したとも報告されています。
前腕可動域について、回外はプレート近位部の剥離、プレート抜去により有意に改善し、回内も同様の操作で改善されているとのことでした。


この文献から抜釘術により可動域の改善がみられることが報告されていますが、プレート抜去目的に筋腱の剥離操作も行われていることがプレート抜去以外の可動域改善に大きく関与していることが考えられるかと思います。
このことから術後早期から筋腱の滑走操作、癒着・拘縮予防を徹底することの大切さを改めて感じました。
また、この文献では麻酔下での可動域のみ触れられていますが、実際に理学療法により改善すべきはアクティブでの可動域であると考えます。手術により改善された可動域を術後どのように維持していくのかが重要になると感じました。手術によりどのような操作が加えられたのかを知り、術後の理学療法に活かしていこうと思います。




投稿者:天鷲翔太

2017年9月18日月曜日

【文献紹介】足根管内で分岐する微細な神経分岐の解剖学的検討

本日紹介させていただく文献は手術記録から足根管内で分岐する神経について検討された文献です。

安永剛他:足根管内で分岐する微細な神経分岐の解剖学的検討.脊髄外科23(2):164-167,2009


対象は自験71例125足です。手術記録を再検討し、微細な神経の分岐の存在とその分岐様式について分類した。
group0:術中に神経分岐が確認できなかったもの
group1:内側足底神経からのみ分岐したもの
group2:外側足底神経からのみ分岐したもの
group3:内側足底神経と外側足底神経両方から分岐したもの
group4:内側足底神経と外側足底神経両方から分岐したのち神経ワナを形成したもの
の5群に分けています。
結果は
group0:41%
group1:39%
group2:2%
group3:12%
group4:6%
足根管内は血管群と内外側足底神経が接触しており、絞扼という病態に大きく関与しています。Kohnoらは屈筋支帯の切除のみでは除圧術では不十分であると考え、血管群と両神経の間に脂肪組織をおくことで足根管内を神経のみの走行にするという手術を行い良好な成績を出しています。また、母趾外転筋の下面で絞扼されるケースもあり、足根管症候群の症状が後脛骨神経単一のものではないことを示唆しています。
筆者らは屈筋支帯切断後に母趾外転筋の筋膜切開、両血管と両神経の間で屈筋支帯を縫合し、足根管内に神経のみが走行する構造にする手術を行なっている。
しかしこの術式は母趾外転筋膜を通過する内外側足底神経から分岐する微細な神経を損傷する可能性があります。Kimらはこれらの微細血管の損傷は有痛性の神経腫を形成したとかこに報告しています。筆者らとKimらの報告で共通しているのは微細神経は損傷しやすいということです。足根管内での神経分岐は高確率で存在するため、慎重な手術が必要であると筆者は述べています。


一つに足根管症候群といっても様々な症状があります。今回報告されたような遠位足根管での症状も近位足根管症候群に類似した症状が出現します。
足根管内の容積はそれほど大きいものではないため、特に外傷後の拘縮は容積を狭めてしまうため、神経症状が疑われる場合には早急に拘縮除去を行う必要があります。
また、その神経症状が近位足根管で生じているのか、遠位足根管で生じているのか、さらに遠位で生じているのか詳細な評価が必要にす必要があります。そのためにはこれらの細かな解剖を知る必要があり、さらに理解を深める必要があると感じました。

2017年9月13日水曜日

【文献紹介】生体内吸収材料がMCL損傷の修復に与える影響について

本日は生体内吸収材料が家兎後肢内側側副靭帯損傷の修復に与える影響について報告されている文献を紹介させていただきたいと思います。






太田ら:生体内吸収材料が家兎後肢内側側副靭帯損傷の修復に与える影響について 日本臨床バイオメカニクス学会誌,Vol.21,2000.


この文献では生体内吸収材料を膝MCL損傷の靭帯縫合に用いた場合、修復過程においてどのような影響をもたらすのか検証されています。


実験動物は、若年雄日本白色家兎62羽を用いています。
縫合糸には生体内吸収材料としてキチン(Chitin)とポリ乳酸(PLA)を使用し、非吸収性材料にはポリエステル(PE)を用いられています。

家兎は後肢膝MCLを展開し、膝関節列隙部に5mmの欠損部を作製した後に各マルチフィラメントでmattress縫合されています。
上記の縫合糸の群に加え、5mm欠損のみのSham群、手術操作を加えないcontrol群の計5群で経過を追っています。
術後は処置をせず、術後481216週での各時期に屠殺し、膝関節部を摘出して評価を行っています。

評価内容は以下の通りです。
力学的評価:大腿骨-MCL-脛骨複合体を作製し、膝関節屈曲60°で油圧式材料試験器を用いて引っ張り試験を行う。①断裂部位と②破断時荷重を測定する。


そして以下のことが報告されています。
①破断部位
 破断部位は大腿骨付着部側(A)、靭帯欠損部(B)、脛骨付着部側(C)3ヵ所に分けられた。

術後4
術後8
術後12
術後16
Chitin
B
B
C
C
PLA
B
B
BorC
BorC
PE
B
B
BorC
BorC
Sham
B
B
C
C
control
C
C
C
C


②破断時荷重
  control群を含む各群とも、経過週数とともに破断時荷重は増加した。
  16週時における各群の破断時荷重に有意な差はなかった。

破断部位について、先行研究で正常家兎MCLの破断部位は脛骨付着部側であると報告されています。

以上の報告から縫合各群およびSham群では術後8週時点では靭帯の十分な力学的強度が得られていないことが分かるかと思います。
Chitin群、Sham群では術後8週、16週時点で正常MCLと同部位で破断していますが、PLA群、PE群では縫合部での断裂も認めており、十分な力学的強度が得られていないことがこの報告から分かりました。

破断時荷重についてはすべての群で経過週数とともに破断時荷重が増加したとありますが、手術操作をしていないcontrol群の破断荷重が増加すると言うところに疑問を持ちました。
筆者らは若年家兎を用いたために経過観察中に成長し、靭帯強度が増したのではないかと考察しています。

臨床でMCL縫合術後や保存療法での理学療法を経験することがあります。どの程度の強度があるのか、修復状況はどうなのかは理学療法を展開する上で大切であると思います。術中所見や手術内容を確認することはもちろんですが、どのようなものが使われているのかも確認し、臨床に生かしていきたいと思います。

また、この論文では力学的な評価と組織学的な影響の2つを検証されています。
今回は力学的なもののみ抜粋していますが、組織学的観察についてもとても勉強になりました。




投稿者:天鷲翔太

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