COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について

整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2015年4月28日火曜日

早朝カンファレンス

当院では月曜の早朝にカンファレンスを行っています。





カンファレンスの内容は、月曜日までの新患の評価を行いプレゼンすることです。
レントゲン所見から予測される受傷機転や考えられること、疼痛部位などからどのような問題点が生じているかを検討しています。
自分の考えていることを簡潔に述べ、人に伝える能力を養う貴重な機会となっています。
また、レントゲンや理学評価から問題点を全員で考えることで情報の共有の場ともなっています。
僕個人としては、まだまだ簡潔に正確な情報を人に伝えることが出来ておらず的確な問題点を捉えることが不十分なことが多々あるので日々精進していきたいと思っています。




投稿者:団野 翼

2015年4月26日日曜日

鏡視下腱板修復術における上腕二頭筋腱摂切離に伴う術後肘屈曲力と愁訴の検討について


今回は鏡視下腱板修復術における上腕二頭筋腱摂切離に伴う術後肘屈曲力についての文献を紹介させていただきます。

 

原田洋平ら:鏡視下腱板修復術における上腕二頭筋腱摂切離に伴う術後肘屈曲力と愁訴の    検討

JOSKAS. Vol40. No1. 2015


腱板断裂に上腕二頭筋長頭腱病変の合併はしばしば見られ、腱切離や腱固定を行う報告がよくみられます。上腕二頭筋長頭腱は結節間溝を通過後関節内に進入し、棘上筋腱と肩甲下筋腱の間(腱板疎部)を走行し、上方関節唇を持ち上げることで上腕骨頭の上方移動を抑え、肩甲上腕関節の安定化に働いています。
また、肩関節だけでなく肘関節の屈曲、前腕の回外にも働きます。

本研究においては、鏡視下腱板修復術において上腕二頭筋長頭腱を切離した群と温存した群に分けて肘屈曲力を患健側で比較・検討されています。また、上腕二頭筋長頭腱を切離した際の患者様の疲労感や筋痙攣痛などの愁訴についても検討されています。

腱板断裂において、回旋筋腱板や肩甲骨のアライメントや動きなど肩関節に対して評価・治療していくことは重要ですが、今回の肘関節のように隣接関節に対してもしっかり評価していく必要性を感じました。常に広い視野を持って、さまざまな可能性を考えながら臨床に臨んでいきたいと思います。

投稿者:吉田雄大

第98回定例会

本日は、整形外科リハビリテーション学会京滋支部・京都会場の定例会がありました。



まずは、宇治武田病院の戸田祐治先生が症例検討として、「内側半月板切除術後に下腿内側に神経症状を呈した一症例」を提示して下さいました。

本症例は、基盤として、変形性膝関節症があり、それに加えて内側半月板を損傷されている患者様でした。半月板切除術を直視下にて行っていたことで、その創部の皮下で伏在神経に癒着を生じている可能性があり、変形性膝関節症による下肢のマルアライメントや膝関節のインスタビリティーが伏在神経に対する伸張刺激を惹起している可能性があることがディスカッションで挙げられました。
それらに対する治療として、ひとつは伏在神経の癒着を剥離することが一番のポイントとして挙げられ、もうひとつは、神経症状を引き起こすトリガーとなっている膝関節のインスタビリティーや歩行時の動揺性を軽減することが必要であるとの話が出ました。
一つの症例の一つの事象に関して皆で深く検討することができました。

その後は、同じ職場の先輩でもある藤原信吾先生が、「膝内側の周辺組織の触診」というテーマで、今回の症例検討の論点となった伏在神経と、それを触診する為に必要となる周辺組織の解剖とその触診について講義して下さいました。


下の写真は触診の風景です。



今回も、局所の機能解剖や動作を通して、患者様を困らせている問題点が何によるものか、それをどう取り除くかということを深く考えさせられる良い機会になったと思います。


来月は、京滋支部の記念講演で「ベーシックセミナー」が開催されますので、定例会はありません。
次回定例会は6月に開催予定です。
今回のように、他院からも難渋症例を報告していただき、皆様が自発的に参加し、会を盛り上げていけるようご協力いただければ幸いです。
今後ともよろしくお願い致します。



投稿者:為沢 一弘





2015年4月25日土曜日

烏口上腕靭帯の肩甲下筋腱付着部に関する解剖学的研究について

 今回は烏口上腕靭帯(以下CHL)の肩甲下筋付着部に関する解剖学的研究についての文献を紹介します。

吉村英哉ら:烏口上腕靭帯の肩甲下筋付着部に関する解剖学的研究:その意義について
肩関節.2011;35巻第3号:707-710

CHLは腱板疎部を覆う組織であり、上方は棘上筋、下方は肩甲下筋に接しています。その解剖学特徴として、過去の報告の中にCHLが腱板疎部を越えて棘上筋に停止するといわれています。しかし、肩甲下筋との位置関係についての報告は少なく、本文献では肩甲下筋付着部を肉眼解剖にて観察し、また上腕骨の位置によるCHLの形態の変化についても検討されています。

 結果として烏口突起基部より起こる線維は肩甲下筋腱最上部の前面および後面に挟みこむように付着し、肩甲下筋上での広がりについては、上方は関節窩を超えて近位内側へ、下方は小結節を超えて肩甲下筋下部筋性部の停止まで及んでいたと述べられています。
次に上腕骨の位置によるCHLの形態の変化では、肩関節伸展位において肩甲下筋に付着する線維は緊張し、一方棘上筋に付着する後方の線維は弛緩したと述べられています。


 肩関節拘縮の主な要因のひとつにCHLの線維化が挙げられ、特に外旋制限の原因となるといわれていますが、今回の文献からCHLは肩甲下筋の前面を広く覆って付着し、上腕骨の位置によって様々にその形態と組織の緊張を変化させていると学ぶことができました。今回の文献を読み、解剖の知識の重要性を再確認しました。今後も継続して知識を伸ばし、しっかりと臨床に還元できるようにしていきたいと思いました。

投稿者:服部隼人

2015年4月24日金曜日

膝関節筋の肉眼解剖学的観察について

 今回は膝関節筋の肉眼解剖学的観察についてです。


安岡武紀:膝関節筋の肉眼解剖学的観察‐膝関節筋の形態と中間広筋および膝蓋上方との関係‐
久留米医会誌雑誌.Vol 74 , 14-22, 2011

 今回は、中間広筋の深層に存在する膝関節筋の肉眼解剖学的観察されている論文を紹介します。
 膝関節筋の形態や機能としては諸説あり、中間広筋の遠位深層から分岐した筋線維により構成されており、本来独立した筋ではないという見解や、膝関節筋の機能の特徴は膝伸展時の膝蓋上包の挟み込みを防止する、などいった見解が挙げられています。
 本論文では、膝関節筋の形態と大腿神経筋枝の分布を詳細に観察してあり、中間広筋と膝蓋上包の形態との関係を臨床解剖学的に検討してあります。さらに、中間広筋や膝関節筋の筋長、筋厚、筋幅の測定結果や大腿神経筋枝の解剖についても詳細に述べられています。
 膝関節の屈曲制限を呈する方や伸展Lagが存在する方がよくいらっしゃいます。中間広筋や膝関節筋の解剖的特徴や機能を肉眼的観察に基づき十分に考察、把握したうえで、理学療法を行っていく必要性を感じる論文でした。

投稿者:中井亮佑




2015年4月22日水曜日

ベーシックセミナー追加募集終了のお知らせ

【ベーシックセミナー追加募集終了のお知らせ】
昨日より開始しました追加募集が募集定員の100名に達しましたので、参加受付を終了致しました。
今後、キャンセルがあった場合のみ追加募集致します。
...
キャンセル待ちをされる場合は、下記へメール下さい。キャンセルがあった場合のみ、メールを頂いた順に当方より5月24日までにメールにてご連絡させて頂きます。
なお、キャンセルがない場合にはご連絡はさせて頂きませんので、あしからずご了承の上、メール下さいますようお願い申し上げます。
[件名]ベーシックセミナーキャンセル待ち
[本文]⑴ 氏名、⑵ 所属先、⑶ メールアドレス、⑷ 連絡がつく電話番号、⑸ 資格(理学療法士、作業療法士など)、⑹ 経験年数
以上を必ず記載の上、jimukyoku@omirigaku.comまでメール下さい。
たくさんのお申し込みを頂き、ありがとうございました。

上腕三頭筋腱損傷の治療について

James A. Tom,et al:Diagnosis and Treatment of Triceps Tendon Injuries:A Review of the Literature
Clin J Sport Med.vol.24,number 3,May 2014,197-204


本日は、上腕三頭筋腱損傷に対する治療について述べられた文献を紹介します。

本文献では、上腕三頭筋腱断裂症例に対する治療法について、他の論文や著者の経験をもとに、手術方法の選択や術後のリハビリテーション等について述べられています。

上腕三頭筋腱の損傷は、重量挙げやコンタクトスポーツで受傷することが多く、部位については特に肘頭付着部で損傷することが多いようです。完全断裂であれば、受傷から2週間以内に修復術が施行されることで、術後34か月で日常生活に必要な機能は回復されるそうです。受傷から期間が空けば、瘢痕化した軟部組織や短縮した腱によって修復は困難になり、再建術が選択されます。その場合はROMや筋力が回復するまでに12年かかるとのことです。

部分断裂は昔から保存療法が選択されることが多かったようですが、成績が不良なケースも多いことからやむを得ず再建術が施行される症例が見られるために、近年では部分断裂であっても修復術を施行するべきとの報告もあるようです。術後のリハビリでは修復術であっても再建術であっても、術後2週間の肘30°屈曲位固定、それから徐々に装具の屈曲角度を増やし、術後6週目から肘伸展の自動運動を開始する。肘伸展の抵抗運動は術後12週から実施するといったスケジュールを著者は推奨しています。
上腕三頭筋腱損傷は比較的稀で、私自身経験したことはありませんが、今後担当する機会があれば参考にしたいです。

2015年4月21日火曜日

ベーシックセミナー追加募集のおしらせ

5月31日に開催予定の、整形外科リハビリテーション学会京滋支部主催
「設立10周年&定例会100回記念特別講習会べーシックセミナー」
が本日より追加募集を開始することになりました。




セミナーの詳しい内容はホームページをご確認ください
ホームページ⇒http://ohmi-rigaku.jimdo.com/学会-研修会案内/


申し込みフォームはこちらhttps://pro.form-mailer.jp/fms/d72a985672289


先日の募集もあっという間に定員に達したため、今回もすぐに締切になると思われます。
ご興味がおありの先生方は、奮ってご応募くださいますようよろしくお願いします。

2015年4月18日土曜日

整形外科リハビリテーション学会 特別公演

本日は、整形外科リハビリテーション学会の特別公演に参加しました。


内容は、名古屋スポーツクリニックの福吉正樹先生が
「投球障害肩に対する病態解釈とアプローチ~これまでのリサーチ結果を踏まえて~」
をテーマに投球障害における注目すべき点と、ターゲットになる組織についてお話しいただきました。


その後は今回の主題で、船橋整形外科病院の菅谷啓之先生による「肩腱板断裂の診断と治療UPDATE」についてのお話を拝聴しました。



腱板断裂の鏡視下手術の内容と、リバース型人工肩関節置換術(RSA)における特徴や、治療のコンセプト、問題点などをお話しいただき、その後の懇親会でも、治療内容のお話などを聞くことができました。

当院でもRSAの患者様が増えてきているので、また実践していければと思います。


最後に、下鴨メンバーで集合写真も撮っていただきました。


また、月曜日からも頑張っていきましょう!


投稿者:為沢 一弘

2015年4月12日日曜日

THA後の脱臼リスクについて

今回はTHA術後の脱臼リスクについての文献を紹介させていただきます。




川那辺圭一:THA後の脱臼.関節外科,Vol.31,No.2:32-37,2012



THA術後の脱臼は、THA術後患者全体の2〜10%と報告されています。
脱臼の原因は様々とされていますが、最も多い原因である、コンポーネントの設置異常でインピンジメントが生じ脱臼に繋がる割合は50%程度であると述べられています。
術後のオシレーションアングルが大きくなるとインピンジメントを生じにくくなり、オシレーションアングルが小さくなるとインピンジメントを生じやすくなるとも言われています。



では、コンポーネントの設置角はどの程度が正常であると言われているのでしょうか?


平塚徳彦ら:人工股関節の可動域の安全域の検討.整形外科と災害外科,Vol46,No1:179-184,1997


この文献では、THAのカップの角度を変化させた時に、股関節の可動性はどのように変化するのかを検討しています。
結論では、前額面でのカップの外開き角が50〜60°、矢状面での前開き角が10°〜20°に設定した時が可動域が大きくなり、ネックとライナーでのインピンジメントを回避しやすいのではと述べています。(外方傾斜角(外開き角)は40°、前方開角が20°程度が最適と報告もあり)




水平面上での前方開角に関して、total anteversion(水平面上からみたカップ前方開角+ステム前捻角)が40°未満あるいは60°以上の場合、脱臼のリスクが6.9倍になるという報告がされています。
Jolles BM:Factors predisposing to dislocation after primary total hip arthroplasty: a multivariate analysis.J Arthroplasty,17(3), :282-288,2002




カップの前方開角は10°〜20°、大腿骨ステムの前捻角は10°が至適設置角であるとの報告も見られます。
 関 真人:人工股関節置換術におけ るソケット至適設置角度解析.Hip Joint,23:467- 469,1997




文献によって、報告される角度にはやや幅はありますが、おおよその安全域は上記の辺りにあるのではないかと思います。そのため、術後の脱臼リスクの確認や、理学療法内容や方針の決定、脱臼してしまった患者様の理学療法内容の検討を行うのに、これらの角度を念頭においた上で画像を見る必要があると考えます。




投稿者:為沢 一弘



2015年4月8日水曜日

外傷後の肘関節屈曲拘縮治療における前方関節包切離術とCPMの使用について



Herbert S.et al.:Anterior Capsulotomy and Continuous Passive Motion in the Treatment of Post-Traumatic Flexion Contracture of the Elbow.JBJS vol.74-A,no.8 1992 .1229-1235

本日は、外傷後の肘関節屈曲拘縮治療に対する前方関節包切離術とCPMの使用について述べられた文献を紹介します。 本文献では、肘関節周囲の骨折後に拘縮が生じ、保存療法に抵抗した患者に対して前方関節包切離術が施行され、術後に平均6週間CPMを使用した群と使用しない群とで、それぞれに獲得された可動域について報告されています。CPMの使用に際しては、0°~120°の範囲内で疼痛自制内に実施されたようです。結果、CPMを使用しなかった群と比較してCPMを使用した群においては、自動伸展可動域に有意な改善は得られなかったものの、自動屈曲可動域に有意な改善がみられたことで、肘関節のtotalの可動域は増加したとのことです。
術後、関節の安定性を確認したうえで、疼痛自制内の頻回な運動が、関節可動域の獲得に重要であることを再認識しました。

2015年4月5日日曜日

高度な痛みを伴った広範囲肩腱板断裂に対し、上方関節包再建術を行った2症例



本日は、JOSKASの学会誌から紹介します。

『高度な痛みを伴った広範囲肩腱板断裂に対し、上方関節包再建術を行った2症例』
真生会富山病院整形外科 太田 悟先生が書かれた論文です。

 大腿筋膜を用いた上方関節包再建術(以下、ASCR)は本邦の三幡先生らが開発した術式
1)

Arthroscopic Superior Capsular Reconstruction Restores Shoulder Stability and Function in Patients with Irreparable Rotator Cuff Tears May 2011Volume 27, Issue 5, Supplement, Pages e36–e37

であり、一次修復困難な大・広範囲断裂に対する修復を適応としています。
 広範囲腱板断裂の病態から上下・前後方向の不安定性をきたし、その結果、骨頭上昇となり、cuff tear arthropathy に至るケースがあるが、その過程において、易出血性により関節血症に至る場合や、反応性滑膜炎を繰り返し関節水腫を引き起こすと考えられます。
 今回紹介する論文では、上記の原因で関節血腫や関節水腫が引き起こされ疼痛が生じていた2症例に対してASCRを実施し、良好な結果を得たとされています。不安定性が原因で疼痛のコントロールが困難な症例であれば、骨頭上昇を防ぎ関節を安定化させる本術式が、よい適応になるのではないかとされています。

肩関節障害を考える上で、骨頭上昇によるインピンジメントが痛みを引き起こしている場合、その原因となっているものが腱板断裂によるものか、拘縮によるものか、肩甲上腕関節以外の要素なのか、、、考えないといけないことが色々あります。理学療法士も、機能解剖学的に病態を把握し治療をしていくことが大切だと思います。

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