COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について

整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2018年5月31日木曜日

【文献紹介】腱板不全断裂を伴う肩関節拘縮の特徴について

  本日の論文は、腱板不全断裂を伴った肩関節拘縮例の特徴を臨床所見と画像所見の観点から調査されています。



対象は肩関節拘縮で棘下筋腱不全断裂を認めた症例30(T)と腱板損傷を認めない症例30(C)です。2群間で可動域と筋力、画像上より得られる関節包の大きさ(anterior,posteriorおよびinferior pouch)を比較検討されています。また関節包の大きさと可動域との相関も調べられています。

各項目において2群間に有意差は認められず、関節包の大きさと可動域の相関にのみ違いが認められたと報告されていました。T群ではinferior pouchの大きさと外転可動域にのみ正の相関を認め、C群ではinferior pouchと外転、外転位外旋可動域の間に正の相関を、CTDとの間に負の相関を認めたとの結果が示されています。

筆者は2群の共通点から拘縮例ではinferior pouchの拡大が可動域改善につながること、腱板不全症例においては関節包の大きさと相関を認めた項目が少なかったことから関節包以外の因子(損傷部周囲の癒着など)によって可動域制限が生じていると考察していました。
同じ拘縮患者でも病態はそれぞれ異なっていて、それら病態の違いを見逃さないよう評価して治療へと展開していくことの大切さを改めて感じました。少しでも自分の治療成績を高められるよう日々精進していきたいと思います。

 
投稿者:佐々木拓馬

2018年5月30日水曜日

【文献紹介】肘関節屈曲に伴う内側側副靭帯の長さの変化

本日は肘関節屈曲に伴うMCLの長さの変化について報告されている文献を紹介させていただきます。






安富ら:肘関節屈曲に伴う内側側副靭帯(anterior oblique ligament)の長さの変化.整形外科バイオメカニクス,Vol.11,1989

この文献では献体8体、9肘関節を用いられています。肘関節は靭帯、関節包のみを残し、AOLの前方1/2と後方1/22か所で各屈曲角度での靭帯の長さの変化を調べています。

AOLの前方1/2は屈曲約20°から70°までは徐々に伸張していき、屈曲約70°から110°で靭帯の長さが最長となり、その後最大屈曲まで一定の長さを保つ様子が観察されたと報告しています。
AOLの後方1/2では屈曲約20°から50°までの間は徐々に靭帯が引き伸ばされ、屈曲約50°から110°の間では一定の長さを保ち、その後は最大屈曲まで再び引き伸ばされたとも報告されています。

この文献からAOLの前方線維、後方線維がどの屈曲角度で伸張位となるかわかりました。
また、受傷形態や運動療法を考える上でも知っておく必要があるかと思います。
MCLAOL以外に2つの線維が存在します。他の線維やLCLなど他の靭帯なども勉強していきたいと思います。
本研究ではホルマリン固定された御献体を用いていることから実際のMCLの動態と異なる可能性があるかと思います。解剖実習をさせていただく機会があれば見てみたいと思いました。


投稿者:天鷲翔太

2018年5月29日火曜日

【文献紹介】膝関節屈曲動作時の膝周囲の皮膚の伸張性について

今回は、膝関節屈曲動作時に皮膚組織がどれだけ伸張されているのかを研究された文献を紹介させていただきます。


和田直子他:膝関節屈曲動作時の膝周囲の皮膚の伸張性について.関西理学.1241-442012



対象は整形外科学的および神経学的に問題がない健常者30名の右下肢を用いて行われており、それぞれの膝関節に伸展位にて脛骨粗面から膝蓋骨尖までの距離を基準距離とし、計5か所にマーキングを行い、足底が床面に接した状態で膝関節を他動的に屈曲30°位、60°位、90°位、120°位、150°位、最大屈曲位と設定されていた。また、それぞれの角度による皮膚の伸張性を測定されていました。また各部位において以下のように伸張差と伸張率を算出していました。

         伸張差(各屈曲角度間における距離の差)(mm
         =(求める屈曲角度での距離)-(求める屈曲角度-30°の屈曲角度での距離)
伸張率(伸張差を基準距離と比較した割合)(%
     =伸張差/基準距離×100

結果は、各々の角度で皮膚の伸張は見られたが、全ての部位(大腿部、膝蓋上嚢、膝蓋骨部、膝蓋靭帯部)において屈曲から30°で有意に皮膚の伸張率が増加したと述べています。


膝関節周囲の疾患に対しての手術を施行した際、可動域制限の一つとして、皮膚の伸張性が挙げられる場面も多々あると思います。今回の研究から、どの肢位で皮膚の伸張性が得られやすく、アプローチする軟部組織を明確にすることで皮膚の伸張性の低下が防げるのではないかと考えました。


皮膚組織の拘縮予防は、術後急性期に行う重要な理学療法の一つと言っても過言ではないでしょう。皮膚や皮下組織の拘縮はROMの制限因子になる可能性が大きいため、今回の文献で皮膚組織の拘縮予防の重要性が再確認できました。



投稿者:高橋 蔵ノ助

【文献紹介】Assessment of tibial rotation and meniscal movement using kinematic magnetic resonance imaging

本日はAssessment of tibial rotation and meniscal movement using kinematic magnetic resonance imagingについて文献紹介させて頂きたいと思います。







この文献では膝関節屈曲の0°から40°の間での屈曲・伸展運動の際に
下腿の内旋・外旋がどの程度生じているか
半月板の厚さがどの様に変化し、どの様に運動しているか
など運動時における半月板の動態の変化をより詳しく述べられていました。

半月板は膝関節の屈曲・伸展時に前後方向へ移動をしますが、
その際に半月板の前角は後角よりも、辺縁部は中央部よりもそれぞれ大きく移動し、厚みが増加すると報告されていました。
また、膝関節屈曲・伸展運動は下腿の内旋・外旋を促進し、それらは靭帯・関節包・大腿骨顆の形状に関連するなど膝関節運動の際の半月板の変化や骨運動の変化についてより詳しくと述べられており、私自身非常に勉強になりました。

これらの軟部組織の変化・関節運動をしっかり理解して行くことが今後の治療時の病態解釈を行なっていく上で非常に役立つのではないかと感じました。

2018年5月26日土曜日

第125回京都支部定例会

本日第125回京都支部定例会が行われました。
今回は京都下鴨病院の堀内 奈緒美先生に「膝関節障害② ACL・半月板損傷」についてレクチャーしていただきました。


ACL損傷は膝のスポーツ外傷の中で最も高頻度に生じると言われています。
半月板損傷はスポーツ活動中に発生する場合や、明らかな受傷機転がなく発生する場合など、様々な病態があります。ACL、半月板は膝関節の安定化に重要な役割を担っており、それぞれの機能解剖と病態解釈についてレクチャーして頂きました。




実技は烏丸御池クリニックの服部隼人先生に半膜様筋、薄筋の触診とリラクセーション方法についてレクチャーをして頂きました。

今回レクチャーしていただいた内容を臨床に活かして行きたいと思います。



次回の定例会は6月23日です。
内容は「~足関節捻挫 シンスプリント~」です。
定例会の参加には事前申し込みが必要になります。
申し込みは6月1にから始まります。
定員は24人で、定員に達し次第申し込みを終了とさせていただきますのでお早めにお申し込みください。

2018年5月7日月曜日

【文献紹介】非予測的な片脚着地動作の体幹・骨盤運動の性差の検討

本日紹介させていただく文献は様々な着地動作において下肢、体幹がどのように運動しているかを男女差で比較している文献です。

柴田聡他:非予測的な片脚着地動作時の体幹・骨盤運動の性差の検討.日本臨床スポーツ医学会誌26(1):17-26,2018

研究目的は非予測的に着地位置の変更を行った片脚着地動作について、特に骨盤・体幹の挙動の性差を検討することです。
対象は男性10名、女性10名です。
実験は30cmの段から利き脚のみでの片脚着地動作とし、着地直前に非予測的に着地位置を変更する課題として行われています。
着地位置は内側方向、外側方向、変更なしの3方向をランダムで提示しています。
結果は着地位置の変更するによる関節角度に有意差は認めませんでした。
男女差においては女性の方が接地後に股関節の内転確度の変化量と骨盤の立脚側方向への回旋角度変化量が大きい結果となりました。先行研究では股関節の外転、外旋筋力の弱化や大殿筋の筋活動しての減少によって過度な股関節の内転、内旋、骨盤や体幹の回旋・傾斜が生じると報告されている。今回の研究結果と先行研究から股関節外転、外旋筋の弱化を代償し、着地を安定させようとした結果、股関節内転、立脚側への骨盤の回旋により着地直後の衝撃を吸収しようとしていたのではないかと筆者は考察しています。
今回は段差からの着地動作における検討ですが、スポーツ活動内ではどのような状態で着地しているのか、競技特性についても学んでいく必要があると感じました。


5月7日から「整形外科リハビリテーション学会 滋賀・京都支部共催第4回ベーシックセミナー」の参加申し込みが受付開始になります。
ベーシックセミナーへの参加は事前申し込みが必要となります。
定員は100名で先着順となります。定員に達し次第終了となりますのでお早めにお申し込みください。
詳しくはホームページをご確認ください。

2018年5月4日金曜日

第27回整形外科リハビリテーション 学会学術集会演題募集


会場:吹上ホール
第27回整形外科リハビリテーション学会学術集会のお知らせ

今年(2018年)は9月23日、24日の2日間、吹上 ホール(名古屋中小企業振興会館)にて学術集会を 開催します。

毎年、多数の演題のお申込みをいただきましてありが とうございます。
本年も日頃より臨床で培っている成果を発表という形 で発揮していただければと思います。

演題募集期間
4月1日~5月18日

演題登録は「整形外科リハビリテーション学会スポーツ支部」Websiteより
スポーツ支部Websiteはこちらから>> https://supoface.wixsite.com/sports-shibu

開催日程 : 2018年9月23日(日・祝)、24日 (月) 
会場 : 吹上ホール(名古屋中小企業振興会館)
    〒464-0856 名古屋市千種区吹上二丁目6番3号

学術集会準備委員会: 整形外科リハビリテーション学会 スポーツ支部事務局 
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お問い合わせ : 2018gakujyutsu@gmail.com 

会場地図

2018年5月2日水曜日

第19回整形外科リハビリテーション学会主催宿泊技術研修会募集期間延長のお知らせ

詳細はこちらから>> https://seikeireha.jimdo.com
整形外科リハビリテーション学会主催
19回宿泊技術研修会

■日  時:平成3069日(土)90010日(日)1510
■参加人数:100
■会  場:希望荘  〒510-1251 三重県三重郡菰野町湯の山
            Tel 0593(92)3181 http://www.kibousoh.or.jp/
■研修会費:30,000
(研修費・宿泊費・懇親会費・朝食1食・昼食2食)
 ※宿泊料金値上げにより会費が上がりしました.

■参加資格:現在当学会会員の方(2017年度整形外科リハビリテーション学会会員)
■申込期間:延長しております。(定員となり次第終了。先着順となります。)
■申込方法:申込期間前より学会HPhttp://www.seikeireha.com/)にて掲載します。
■B検定について:実施されます

■研修内容:

 平成3069日(土)
GradeB対象講義》:改定第2版関節機能解剖学に基づく整形外科運動療法ナビゲーションを教科書として使用します。各自ご持参下さい。
9:0011:00 大腿骨頸部・転子部骨折に対する評価と治療   
      松阪中央総合病院     熊谷匡晃先生
 11:1013:10 間欠性跛行に対する評価と治療          
         平針かとう整形外科    岡西尚人先生
 14:1016:10 症例提示による評価方法のディスカッション   
                              中部学院大学       浅野昭裕先生
16:2018:20 症例提示による評価と治療法のディスカッション 
                          運動器機能解剖学研究所    典雄先生

《一般会員対象講義》改定第2版運動療法のための機能解剖学的触診技術を教科書として使用します。各自ご持参下さい。
9:0011:00 二日目につながる触診技術           
                        烏丸御池整形外科クリニック 永井教生先生
 11:1013:10 二日目につながる触診技術           
                              一社ひがし治療院     神山卓也先生    
                              秋山整形外科クリニック  小野正博先生
14:1017:10 二日目につながる触診技術           
                          伊賀市立上野総合市民病院 猪田茂生先生
   名古屋スポーツクリニック 中川宏樹先生
 17:2018:20 臨床症例の悩み相談,触診の復習        
                              各講師陣が対応
  ※「臨床症例の悩み相談用 症例提示資料」を参考にてパソコンのパワーポイントにより資料を作成し持参していただきます。

平成30610日(日)
《全受講者対象講義》
9:0010:40 胸郭出口症候群保存症例に対する評価と治療   
                        さとう整形外科     赤羽根良和先生
10:5012:30 腱板断裂保存症例に対する評価と治療      
                          京都下鴨病院       小野志操先生
13:2015:00 上腕骨近位端骨折保存症例に対する評価と治療  
                          桑名西医療センター    松本正知先生

■申込に際しての注意事項
    19回宿泊技術研修会の申込フォームから申し込みください。
    パソコンからの申し込みをお願いします。携帯電話からはご遠慮ください。
    必ず個人のメールアドレスでお一人ずつお申し込みください。
    参加の可否は先着順で決定させていただきます。
    入金後のキャンセルにつきましては、当学会および宿泊施設のキャンセル料の規定に基づき手続きを行います。ただし、振込手数料は参加者負担とさせていただきます。
    申込者が諸事情により参加不可能となった場合は代理者の参加を認めます。その際には事務局までご連絡下さい。
    B検定は先着8名とさせていただきます。希望者多数の場合は、人材育成委員会と協議の結果決定させていただきます。
    GradeB対象」については、申込者が対象となります。また、受講生は先着20名が上限となり、以後登録された方は、一般会員対象講義の受講となってしまいます。登録後にメールで参加確認をさせていただきます。

宿泊研修の参加を希望される方は、登録フォームに必要事項を記入し、入力後の内容に沿って入金を行い、必要事項を記載して事務局に入金連絡メールを送ってください。入金を確認でき次第、申し込み完了通知メールを送ります。メールを受け取って初めて申し込み完了となります

519日までに入金されなかった場合、キャンセルとなります。(振り込まれない場合は、連絡なしにキャンセル扱いとさせていただきます。)

≪注1≫申し込みと、振込み、振込みメールなどは全てお一人ずつ行ってください。
≪注2≫入金メール送信後、7日が経過しても申し込み完了通知メールが届かない場合、どこかで不手際のある可能性があります。お手数ですが確認のメールをお願い致します。

参加申し込みはこちらから >>  https://seikeireha.jimdo.com

ご不明な点がございましたら、宿泊技術研修事務局アドレス
seikeireha.otomari1@gmail.comまでご連絡ください。

宿泊研修事務局:吉田整形外科病院 篠田光俊

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