本日は変形性膝関節症における脛骨回旋可動域と屈曲・伸展可動域・疼痛・JOA scoreとの関連性について文献紹介させていただきます。
膝関節屈曲・伸展運動時には脛骨の内旋・外旋する事は周知の事実です。また、脛骨の回旋によって関節面の適合性を高め、膝関節が安定するとも言われており、変形性膝関節症患者において下腿の回旋可動性は制限されると報告されています。しかし、下腿の内旋・外旋可動性がどの程度関節可動域に影響を与えているかは一定の見解が得られていません。今回の文献ではこれらの関連性について明らかにしていましたので紹介させていただきます。
方法
膝OA患者26名40膝(男性9例、女性17例、平均年齢75.1±4.9歳)。K-L分類に関してはgrade1が1膝、grade2が23膝、grade3が9膝grade5が5膝で行っていました。疼痛をNRSにて評価、膝関節機能評価はJOA–scoreにて評価しており、測定肢位は
①端座位にて股関節屈曲90°・内旋外旋0°膝屈曲90°にて実施
②端座位にて股関節屈曲90°・内旋外旋0°膝屈曲30°にて実施
第2趾の延長上を移動軸として回旋可動域を測定、回旋可動域と疼痛・JOA –score・膝関節屈伸可動域の相関関係について検討していました。
結果
①膝関節90°屈曲位:内旋13.3±4.9°、外旋16.8±4.4°
②膝関節30°屈曲位:内旋7.8±3.2°、外旋10.8±3.0°
膝関節30°・90°での回旋可動域、膝屈伸可動域、30°での脛骨内旋可動域とNRS、JOA– scoreに有意な相関関係を認めていました。
回旋可動域は屈曲位・伸展位どちらでも、屈伸可動域高い相関関係を示しました。膝OAの進行に伴い、関節可動域は制限されますが、脛骨回旋可動性は膝関節の遊びを反映している事が考えられ、それらの消失が可動域と関連する事が考えらえたと言えます。
今回の文献は、関節可動域制限の原因を理解し、治療を進めていく際の1つの指標になるのではないかと考えています。下腿の外旋や内旋が膝の屈伸の制限や疼痛の制限になることを理解し、病態解釈に努めていきたいと思います。
投稿者 茂木孝平
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