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整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2018年6月19日火曜日

【文献紹介】大腿骨前脂肪体の柔軟性と筋力・膝関節可動域の関係性について

本日は大腿骨前脂肪体の柔軟性と筋力・膝関節可動域の関係性について文献紹介させていただきます。
人工膝関節置換術(以下TKA)症例やその他の膝関節症例において可動域制限(以下ROM)や筋力低下には様々な原因が挙げられます。その際に、膝蓋下脂肪体(以下IFP)や大腿骨前脂肪体(以下PFP)などの硬化が原因となり可動域制限や疼痛が生じている事が報告されています。本文献では、IFP、PFPの柔軟性とROMや筋力低下の関係性について述べられていました。

対象・方法としてはN 群15例22膝(男性5人、女性10人、平均年齢73.1±4.0歳),TKA 群13例16膝(男性3人、女性10人平均年齢70.4±9.4歳)とし、
①膝関節伸展位90°屈曲位にてPFPの組織弾性を計測
②膝関節90°屈曲位にて膝関節伸展筋力を測定
算出したPFP柔軟性を群間比較、またTKA群におけるPFP柔軟性と膝関節屈曲・伸展ROM、膝関節伸展筋力との相関を求められていました。

結果としては
①膝関節伸展位・屈曲位では、TKA群がN群に比べて有意にPFPの柔軟性が低下
②TKA群におけるPFP柔軟性と膝ROM・膝伸展筋力との相関は屈曲位と膝伸展筋力のみ負の相関が認められ、膝ROMとPFP柔軟性には相関が認められなかった。
このことから、TKA術後症例では、膝蓋上嚢だけではなくPFPも硬化している事が明らかとなり、またPFP柔軟性の変化は屈曲位にてより柔軟性が低下している。PFP柔軟性低下により、膝蓋上嚢・膝関節筋・広筋などの収縮効率の低下が原因となって、膝伸展筋力の低下に繋がっている事が確認された。
TKA術後症例では、膝蓋上嚢だけではなく膝屈曲位でのPFPの柔軟性を改善する事が必要であると考えられた。

膝関節症例だけでなくその他の症例においてもROMや筋力低下の原因となる組織に確実にアプローチする事が患者の治療を行う上で重要になってくると思います。今回はPFPや膝蓋上嚢のみでしたがその他にも原因となる組織はたくさんあるかと思います。それらに対して確実にアプローチできるようにこれからも知識を増やしていきたいと思いました。


投稿者 茂木孝平

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