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整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2018年6月9日土曜日

【文献紹介】夜間痛を伴う肩腱板断裂の臨床的特徴的に関する検討

本日紹介させていただく文献は腱板断裂症例に夜間痛が生じている症例の臨床的特徴を検討した文献です。


岩下哲他:夜間痛を伴う肩腱板断裂の臨床的特徴に関する検討.東日本整形災害外科学会誌26:55-58,2014

対象はARCRを施行された114例114肩です。
検討項目は以下の通りです。
・年齢     ・性別
・外傷歴    ・罹患歴
・糖尿病の有無 ・喫煙歴
・断裂形態   ・可動域
・インピンジメント徴候
結果は夜間痛ありを認めたのは63/114例でした。
臨床的特徴については年齢、性別、外傷歴、罹患期間、DM、喫煙歴、断裂形態において両群に有意差を認めませんでした。
インピンジメント徴候はあり群の方が高頻度で認めました。
ROMは屈曲、外転、外旋は有意差を認めませんでしたが、内旋角度は有意にあり群の方が低下していました。
過去の報告では
インピンジメント徴候陽性症例では肩峰下滑液包炎などを契機として肩峰下滑液包圧上昇を引き起こしていた可能性がある。
内旋制限症例においては肩峰下滑液包圧の上昇をきたしている
と報告されています。
しかし、健常者において肩関節挙上時に肩峰下滑液包圧の上昇が引き起こされる健常者に夜間痛を認めないことから、物理的刺激以外の要因として本研究において滑液包炎の関与が挙げられると筆者は述べています。
また、筆者はインピンジメント徴候例に発症した肩峰下滑液包炎により滑液包の血流上昇が奮起され夜間痛が引き起こされた。
滑液包炎といった炎症反応は筋攣縮を生じさせ、筋攣縮の持続は筋組織を虚血状態にすることで発痛物質を産生し夜間痛発症に関与していると考察しています。
今回の検討結果は肩峰下滑液包圧の上昇といった物理的刺激に加え、滑液包炎によって引き起こされた滑液包・関節包の血流増加や筋攣縮と知った要因が考えられたと述べています。

PTは炎症に対してはアプローチする事ができません。
しかし、筋攣縮に対しては運動療法が適応になります。
患者さんに生じている疼痛が炎症由来なのかしっかり見極める必要があると感じました。

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