COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について

整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2018年6月2日土曜日

【文献紹介】上殿皮神経の解剖学的研究について

本日は上殿皮神経の解剖学的研究についての論文を紹介させて頂きます。



Anatomical etiology of “pseudo-sciatica” from superior cluneal nerve entrapment: a laboratory investigation 
Tomoyuki Konno1 Yoichi Aota2 Hiroshi Kuniya1 Tomoyuki Saito1 Ning Qu3 Shogo Hayashi3 Shinichi Kawata3 Masahiro Itoh3


上殿皮神経障害は腰痛のみならず鼡径部や坐骨神経痛様の下腿外側に及ぶ関連痛を呈すことがあると報告されています。絞扼例がL5障害に類似する症状を呈する理由を説明できないことから、本研究では臨床で絞扼例の多い上殿皮神経内側枝の起始となる神経根の解剖学的特徴について明らかにすことを目的とされています。

これまでの解剖学的研究では上殿皮神経は上位腰神経L1からL3に由来するとされおり、
グレイ解剖学、グランツ解剖学にもそのように記載されています。
相澤らはご遺体11体20側の解剖を行い上殿皮神経の分布はL1(5%)L2(3側:15%)
L3(13側65%)L4(3側15%)であったと報告しています。

本研究の対象は解剖用ご遺体12体の両側殿部皮神経を調査しています。
結果、絞扼されやすい内側枝の起始となる神経根はL2 からL4に分布したものが1本。
L3に分布したものが3本。L4に分布したものが10本。L5に分布したものが6本であり、多くの教科書や図譜で上殿皮神経は3本と記載されていますが、本研究では1本から5本と多様であったと報告されています。

結果から絞扼されることの多い内側枝の由来神経根は主にL4、L5から分布していおり坐骨神経様の関連痛を呈する解剖学的背景と考えられています。

腰殿部痛と同時に下肢に関連痛を訴える患者さんにはこのような解剖学的背景も念頭に置いて評価や治療を進めていく必要もあると感じました。
しかし、坐骨神経痛を呈する病態は様々であり、まずはそれらの病態を1つ1つ丁寧に見ていくことが重要であると考えます。

投稿者:大渕篤樹

人気の投稿