前回に引き続き、Debeyre-Patte変法の短期治療と手術適応について記載されている文献を紹介します。
大・広範囲腱板断裂に対しての手術はMcLaughin法、筋移行術や鏡視下パッチなどが報告されていますが再断裂が生じる危険性が高いと報告されています。
この文献では、大・広範囲腱板断裂に対してDebeyre-Patte変法を行い、術前・術中及び術後の断裂腱の評価を行い、短期治療成績について検討されています。
広範囲腱板断裂の治療成績を向上させるためには、術前の腱板断端部位とその質を評価し術中の断端の滑動性が重要だと報告されています。
Debeyre-Patte変法では、腱板の滑動性を腱全体で行うことができるメリットがあります。
今回の文献の結果では、術前腱板断端が関節窩付近であり、脂肪変性がGrade2,3であればDebeyre-Patte変法によって術後腱板修復も良好で機能的にも問題なく、術後経過は良好であったと報告されています。
前回にも記載せて頂いたのですが、Debeyre-Patte変法の考え方は腱板断裂後の症例に対する運動療法を行う上でも重要な考え方だと思います。
如何に腱板に負荷をかけずに理学療法を行えるかで再断裂が生じる危険性を減少させることができるのではないかと考えています。再断裂を生じる症例を減少させていくためにも解剖学や治療過程を考えた治療を行えるよう心がけたいと思います。
投稿者:団野翼
Staff profile
COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について
整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。
人気の投稿
- 
本日は、腰椎神経根分岐の破格に関する報告を一部紹介させていただきます。 J Bone Joint Surg Br. 1984 May;66(3):411-6. 腰椎椎間板ヘルニアにより障害される神経根は一般的である傍正中ヘルニアでは罹患椎間の1高位尾...
 - 
本日は、半膜様筋-内側側副靭帯にある滑液包(STBと略す)について述べられた文献を紹介します。 Christopher P.et al.:AJR 1996;166:875-877 STBは逆U字型をしており、その深層部は内側半月板後節に隣接し、半膜様筋腱と脛骨内側顆の間に...
 - 
変形性膝関節症には様々な原因が関与していると報告されていますが、その中には大腿骨の外弯変形が関与するという報告もあります。 しかし、実際の臨床では、大腿骨外弯変形をきたしている患者様の OA の進行度は必ずしも高いとは言い切れないことが多々あります。また、主に T...
 - 
本日は橈骨遠位端掌側ロッキングプレート治療後に抜釘術を行い、どの術中操作が可動域の改善に関与したのかを報告している文献を紹介させていただきます。 ・対象 男性 7 例 女性 29 例 平均 327 日で抜釘し, 経過観察は平均 428 日 ・可動域: 術...
 - 
本日紹介させていただく文献は夜間痛と血流の関係について検討された文献です。 寺林伸夫他:夜間痛を伴う腱板断裂患者に対する超音波ドップラ血流評価.肩関節36(2),2012:507-510 今回の研究目的は夜間痛を有する腱板断裂患者の関節包栄養血管血流の血行動...
 
