COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について

整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2018年8月5日日曜日

【文献紹介】関節可動域制限

靭帯性の拘縮のついて疑問も持っており、今回読ませていただいた本の中に靭帯性拘縮について興味深いことが多く書かれていたため紹介させいただきます。




沖田実:関節可動域制限,三輪書店

靭帯を不動化したのちの変化について筆者が実際に実験したものと過去の報告も踏まえて、横断面積・力学的強度・コラーゲン線維について書かれていました。

靭帯を不動化にした結果、横断面積に関しては減少するとの報告もあれば、変化しないとの報告もあり、一定の見解は得られていないことがわかりました。
力学的強度に関しては減少すると多く報告されています。
力学的強度が低下する要因は文献によって様々で、靭帯実質部の萎縮と考察している執筆者もいれば、不動化後はコラーゲン線維が合成されるため、未熟で細い線維が増えるためと考察している執筆者もいました。
コラーゲン線維の配列については肢位によって変化すると報告しています。
伸張位の状態で固定してあればコラーゲン線維の配列に変化を認めず、逆に弛緩位に固定していた靭帯においてはコラーゲン線維配列に変化が生じたと報告されていました。

靭帯と筋の構造の違いを見ていくと、靭帯にはエラスチンなどの伸張する成分がほとんど含まれておらず、伸張しないことがわかります。
顕微鏡レベルで比較すると筋は網目状の配列で伸張ストレスが加わると大きく形状を変化させるのに対して、靭帯は靭帯の長軸に並行に高密度でコラーゲン線維が配列し、伸張ストレスが加わっても大きく形状を変えることはありません。

多くの報告から靭帯性の拘縮も存在することは分かりましたが、構成してるものや伸張しても大きく形状の変化が生じないことから大きく関与はしないのではないかと考えています。
関節拘縮に対して靭帯の関与を疑う時は靭帯実質部の拘縮よりかは、靭帯と周辺組織の癒着を疑って評価を行う必要があるのではないかと感じました。


人気の投稿