COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について

整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2016年5月7日土曜日

腸脛靭帯近位部の機能解剖について

 今回は腸脛靭帯(以下ITT)近位部の解剖について書かれた文献を紹介します。

三浦ら:腸脛靭帯の構成繊維とその機能解剖学的意義について 9回臨床解剖研究会記録 2005.6.11

 遠位部に関しては過労性障害との関わりが多く、腸脛靭帯炎などの疾患で着目されます。しかし、近位部においても構成繊維は複雑であり不明な点も多いことから、筆者らは肉眼解剖ならびに電顕的検索を行っています。報告として、まずITT近位部は浅・深2層の繊維束に区別され、その中でも深層は3つの繊維束から複合形成されていると確認しています。また興味深いのはこれらの深層繊維束の大部分は大転子後下方(殿筋粗面上部)において指状に噛合うように立体交差して集束したのちに大腿骨に付着した点です。ITT深層部分の繊維束の立体交差が大転子を後方から支持することで、ITTには股関節を伸展位に保持する作用があることが推測でき、股関節の安定化にも重要な役割を担っていると考えられます。
 ITT遠位部に関しての紹介は以前にさせていただきましたが、近位部に関しては特に股関節の安定化にも関与することがわかり、臨床上で着目すべき報告だと感じました。


投稿者:服部隼人

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