COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について

整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2015年5月28日木曜日

前腕回内外における遠位橈尺関節の安定性について


J Hand Surg 1995;20A:930-936

 

本日は、前腕回内外における遠位橈尺関節の安定性に関与する組織について報告された文献を紹介します。

本報告で対象とされた軟部組織は、前腕骨間膜、背側橈尺靭帯、掌側橈尺靭帯の3つであり、この3つの組織を切離した場合の最大回内外時の遠位橈尺関節の安定性について述べられています。研究が複雑化しないように、あらかじめ尺側手根伸筋の影響は排除されています。

結果、前腕最大回内時に尺骨頭の背側脱臼を許したのは、骨間膜と背側橈尺靭帯を切離した場合。反対に最大回外時の尺骨頭の掌側脱臼は、骨間膜と掌側橈尺靭帯を切離した場合に生じたとのことです。このことから、最大回内動作において、背側橈尺靭帯は掌側橈尺靭帯よりも遠位橈尺靭帯の安定性に貢献していることがいえます。(回外ではその反対)

橈骨に対する尺骨の背側脱臼は掌側脱臼よりも見られることが多いようですが、理学療法としては、背側脱臼であれば骨間膜と背側橈尺靭帯の損傷を疑い、前腕最大回外位での固定等の対応が必要と思われます。受傷時の画像所見で見過ごすことのないように注意していこうと思います。

 

投稿者:竹下真広

人気の投稿