本日は「肩関節拘縮に対する関節鏡視下授動術における可動域の推移」についての文献を紹介したいと思います。
臨床上、肩関節拘縮は理学療法にて良好な結果が得られることが多いですが重度の肩関節拘縮症例は長期間治療に時間がかかることが少なくないと思います。
拘縮の病態を把握することは理学療法を行う上でも必要なことだと感じています。
この論文では、全身麻酔下にて上肢に4‐5kgの牽引を加えた状態で関節鏡視を行い、滑膜増殖の部位、腱板の評価を行っています。
関節鏡視での滑膜増殖の部位に関しては、肩峰下滑液包は軽度のものを含めると90%程度の症例に生じており、前方にも60%程度、後方、下方にも生じていたと報告されています。
このことから、全周性に滑膜増殖が生じていることがわかります。
また、上方と前方の組織に関してはほとんどの症例で滑膜増殖が生じているとのことであるため治療のターゲットになりやすいと考えられます。
まだまだ、満足できる程の臨床成績を出せていないのでこれらの組織にしっかりとアプローチを出来るようになり一日でも早く拘縮を改善できるように励んでいきたいと思います。
投稿者:団野 翼
Staff profile
COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について
整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。
2015年5月4日月曜日
人気の投稿
-
文献紹介 大腿骨転子部骨折において後外側支持欠損が lag screw sliding に与える影響 (徳永真己・他 : 骨折 第35巻、98-102、2013) 大腿骨転子部骨折をshort femoral neck (SFN) で...
-
本日は最近読んでいる雑誌の紹介をさせていただきます。 「股関節鏡視下手術の実際-股関節スポーツ損傷に対するアプローチ-臨床スポーツ医学2012」 です。 近年では股関節痛を有する患者に対するアプローチの一つとして股関節鏡が発展してきています。特に米国では年間手術件数...
-
参加申し込みが開始されるまで、まだ3日ほど期間がありますが、 京滋支部京都会場代表世話人の小野志操先生がご講演される、9月12日(金)の第1回「肩関節の解剖学と運動学」に引き続いて、10月10日の第2回研修会では「肩関節拘縮の評価と治療 〜肩上方組織を中心に〜」をテー...
-
今年度の京都支部の年間スケジュールが完成致しました。 今年度の京都支部の活動は、例年通り 奇数月 に開催される2ヶ月に1回の定例会(症例検討会とレクチャーを実施)に加え、新たな試みとして 偶数月 に 触診勉強会 を開催する予定です。 今年度の触診部位のテーマは股...
-
本日は Bertolotti症候群について紹介させて頂きます。 Bertolotti症候群は1917年にBertolottiが提唱した症候群であり,最尾側の腰椎横突起が肥大し仙骨との 間に関節を形成,あるいは骨癒合した症例に腰痛が生じる症候群とされています。 ...