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整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2015年5月30日土曜日

人工膝関節置換術における伸展ギャップ拡大のための後内側関節包縦切法の有用性

 今回は人工膝関節置換術における伸展ギャップ拡大のための後内側関節包縦切法の有用性についての文献を紹介します。


金山ら:人工膝関節置換術における伸展ギャップ拡大のための後内側関節包縦切法の有用性 日本人工関節学会誌.44:93-94.2014

 人工膝関節置換術(TKA)では術式に関わらず、屈曲拘縮など小さな伸展ギャップ症例においては後方軟部組織処理による伸展ギャップ拡大が必要であり、大腿骨遠位追加切除によるJoint line上昇を防ぐために重要であるという報告があります。今回の文献では内側型変形膝の伸展ギャップ減少の主要因として後内側関節包拘縮による膝伸展位での内側側副靭帯(MCL)・後方関節包両者の過緊張が関与し、MCL後方関節包縦切により両者の連続性を絶つことにより伸展ギャップ拡大が得られると仮説を立て、検証されています。

 結果として後内側関節包縦切前の伸展/屈曲でのギャップ値は5.7±2.1/10.2±2.0(平均±SDmmであったのに対し、後内側関節包縦切によるギャップ拡大は伸展/屈曲で2.4±1.5/0.1±0.3mmと伸展が有意に屈曲よりも拡大していたと報告しています。

 考察として、膝伸展位でMCLおよび後方関節包が一方の緊張が他方の緊張に影響を与えるような複合体として作用しているため、両者の連続性を絶たない後方関節包の剥離・横切だけでは十分な効果が得られないと述べられています。

 今回の文献から内側型変形膝における伸展制限の要因として後方関節包の拘縮、それに伴ったMCLの後方への牽引によりMCLが過緊張することで伸展制限に関与していることを学ぶことができました。このような手術における軟部組織の処理についての知識は運動療法にも活かせるのではないかと感じました。

投稿者:服部隼人


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