COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について

整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2018年7月3日火曜日

【文献紹介】膝前十字靭帯損傷患者の重心動揺と膝関節 周囲筋力の特徴について

今回は膝前十字靭帯損傷患者の重心動揺と膝関節周囲筋力の特徴について文献紹介させていただきます。
膝前十字靭帯(以下ACL)損傷患者は、関節固有感覚の破綻が生じ、重心動揺性が増加し、それに伴いバランス能力も低下もみられると報告されています。それらを予防する方法として膝関節周囲筋の伸展・屈曲筋のバランスが重要であると指摘されていますが、本文献はACL損傷患者の静的重心動揺と膝周囲筋力を健常膝と比較し特徴を検討した。

対象・方法
ACL 片側受傷患者(ACL 群)43 名:女性 22 名(13-49 歳、平均 22.0 ± 11.1 歳)、男性 21 名(15-47 歳、平均 27.5 ± 10.1 歳) と膝疾患の既往がない健常成人(対照群):男性 9 名(21-33 歳、平均 27.4 ± 4.6 歳)18 膝を対象としていました。
全対象者に対し、閉眼片脚立位にて10秒間の重心動揺を計測し、膝周囲筋力は、膝周囲筋の屈曲伸展筋力の最大トルクを計測し体重を除した値と膝伸筋力に対する膝屈筋力の割合として計測していました。

結果・考察
ACL群内の受傷側と非受傷側の比較で、重心動揺は前後変位のみ差を認め、受傷側 1.3 ± 1.3cm、非受傷側 0.7 ± 1.5cmで受傷側が有意に大きく、膝周囲筋力60deg/sec 、180deg/secとも膝伸筋力とH/Q比で差を認め、受傷側の膝伸筋力が有意に小さく、H/Q 比は有意に大きい結果となった。膝屈筋力は有意差を認めませんでした。次にACL 群と対照群の比較では、重心動揺は受傷側および非受傷側とも全ての項目において有意差を認めませんでした。膝周囲筋力は、対照群に比して受傷側では、60deg/sec の膝伸筋力と180deg/secの膝伸筋力と膝屈筋力で差を認め、受傷側が膝伸筋力、膝屈筋力とも有意に小さい結果となりました。非受傷側では 60deg/sec の H/Q 比のみ差を認め、非受傷側 42.5 ± 9.7%、対照群 48.6 ± 6.9% で対照群が有意に大きくなりました。

以上の事から、膝伸筋力の低下はACL損傷への影響があると考えられ、また受傷後は膝屈筋優位の姿勢制御をしている事が示唆されました。
受傷後の筋力低下の影響や、非受傷側の膝伸筋力に対する屈筋力の割合が対照群に比べて有意に低値を示している事から受傷側も受傷前は膝伸筋力に対する屈筋力の割合が低値である事が推察されます。膝伸展筋力に対する屈筋力の割合70%以上がACL損傷予防に理想である値とされており、今回はそれよりも低値を示した事から損傷要因の1つとして関与している可能性が示唆されました。受傷側の筋力回復のみではなく、非受傷側を含めた筋力バランスにも着目する必要があると考えられます。

ACL損傷は、近年若年者のスポーツアスリートなどに頻繁にみられる怪我の1つですが医療技術の進歩に伴い、受傷を未然に予防する事が重要視されてきているのではないかと考えています。なぜ、ACLが損傷したのかをアライメント・筋力・柔軟性など様々な面から考えていかなければならないと思い、今後の病態解釈をする上で重要になってくるのではないかと思います。

人気の投稿