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2016年6月20日月曜日

【文献紹介】超音波エコーを用いた橈骨遠位端掌側面と長母指屈筋腱との位置関係

 本日は橈骨遠位端掌側面と長母指屈筋腱(以下FPL)の位置関係について超音波エコーを用いて観察・検討されている文献を紹介させていただきたいと思います。




久保ら:超音波エコーを用いた橈骨遠位端掌側面と長母指屈筋腱との位置関係の検討 整形外科と災害外科62(2)2272302013.


 橈骨遠位端骨折の手術療法において掌側ロッキングプレートを用いた固定法は多くの症例で用いられています。その一方で術後の重篤な合併症としてFPL断裂が問題視されているということが記載されています。
 この文献では手に障害のない2040歳、4160歳、61歳以上の3つのグループ(20例、男女10例ずつ)、計60例を超音波エコーで観察しています。
 検討項目としてはwatershed lineFPLとの距離、方形回内筋の最大筋腹幅、watershed lineと方形回内筋付着部との距離の3つで、それぞれ手関節中間位と背屈位で測定されています。


 watershed lineFPLとの距離は平均1.40mmで、背屈位では0.28mm短くなったと報告しています。また、方形回内筋の最大筋腹幅は平均4.67mmで男性の方が女性よりも平均0.78mm小さく、watershed lineと方形回内筋付着部との距離は平均2.84mmであったとも報告されています。
 方形回内筋はプレート被覆によるFPLの保護の役割があるのではないかということから測定されています。

 
背屈位でのwatershed lineFPLの距離は平均すると1.12mmであり、掌側プレートの厚さ、設置位置にもよりますが、FPL滑走時にプレートと接触することが考えられます。
また、watershed line直上には方形回内筋の筋腹はなく、プレートが遠位設置であった場合にプレートとFPLが直に接触することも考えられました。


 今回は健常成人を観察しているものでしたが、橈骨遠位端骨折による掌側ロッキングプレート固定を用いられる症例では、高齢であったり、術中に方形回内筋の切離・縫合が行われたりなど、保護の役割を果たす可能性がある方形回内筋の筋腹が減少している可能性も考えられます。
 実際にプレートの設置位置やエコーでFPLの走行を評価し、FPLの断裂を防ぐように術後のリハビリを進めて行くことも重要であると感じました。



投稿者:天鷲翔太

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