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整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2016年6月18日土曜日

骨軟骨移植術における移植軟骨の力学的特性

今回、紹介する文献は骨軟骨移植術における移植軟骨の力学的特性についてです。

中路教義、藤岡宏幸ほか:骨軟骨移植術における移植軟骨の力学的特性.中部整災誌2005.48267-268

 骨軟骨移植術後の荷重時期については移植した軟骨が生着するまでは慎重に行うべきというものや骨軟骨骨片の安定性が得られるので早期に荷重できるというものまで様々な報告があります。そこでこの文献では移植された骨軟骨骨片の力学的特性と組織学的解析を行っています。

 方法は日本白色家兎12匹に対し骨軟骨移植を行い、術直後および術後1,3,8週に硬度測定装置を利用した力学的解析を行った後、HE染色し組織学的に解析をしています。

 結果ですが、力学的解析では術直後は健常軟骨より硬度が増すが、術後18週までは健常部より統計学的に有意に低値であったとしています。しかし、術後8週では3週と比較して増加に転じていたとのことです。また、組織学的解析では、術後3週で軟骨下骨での骨癒合が確認され、術後8週で関節軟骨部での連続性を認めたと報告しています。まとめると術後3週では軟骨下骨において骨癒合は認められますが、硬度に関しては力学的に十分強固なものではないということです。

 骨軟骨損傷ではInternational Cartilage Repair Society(以下、ICRS)分類が治療法の選択においても有用とされています。その中でもICRS分類のⅢ〜Ⅳ期にあたるものに対し、軟骨欠損が小さい場合は自家骨軟骨移植術、大きい場合は自家培養軟骨細胞移植術が施行されます。今回の文献は前者をモデルとして行われた研究であるため、自家培養軟骨細胞移植術に対しても、この報告が適用となるのかは疑問が残ります。どちらに対しても理学療法を展開していく際には、軟骨移植部位の位置、圧迫力を考慮し、運動角度に配慮することが大切です。また荷重時期に関しては主治医と協議をした上で進めていくことが重要であると思います。

投稿者:服部隼人

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