青木光広:結合組織の創傷治癒より見た肩関節周囲炎の病態と治療.肩関節29(3),2006:621-624
臨床病期に相当する肩関節包の病理を文献的に検討し、結合組織の創傷治癒との関連性を見出すことを目的としています。
文献的検討を行っています。
痙縮期
関節包の充血と浮腫が発生しており、関節包内に肉芽組織を形成します。創傷治癒では急性炎症期に当たります。
拘縮期
関節包の線維化と肥厚が生じ、関節包の容量が減少し、疼痛が持続し可動域制限が進行
創傷治癒ではリモデリング期に相当します。
この時期に過度なストレスをかけると瘢痕内の膠原線維が断裂し、新たに炎症を惹起することになります。
緩解期
慢性炎症が消退し疼痛と可動域制限が緩解します。
創傷治癒ではリモデリング成熟期に相当し、線維芽細胞と毛細血管が退縮し、膠原線維の架橋結合が増加し柔らかく強い膜様瘢痕を構成します。
拘縮の病期と治癒過程とを比較していくと上記の様になったと述べています。
肩関節周囲炎の治療を行うにあたり重要な点は、関節包に新たな損傷刺激が加わらない様に関節を保護し、血流を改善することが重要であると考察しています。
理学療法においても外傷を与えない適度なストレスを関節包に与えることでリモデリングを促していくことが必要であると述べています。
組織修復を考慮した理学療法を展開することは非常に重要であると感じています。肩関節拘縮においても理学療法開始時、治癒過程のどの時期にあるのか、可動域拡大を図って積極的に動かしていくべきなのか、急性炎症期で安静を要するものなのか考えて行う必要性を改めて感じました。