新関ら:鎖骨遠位端骨折におけるZip Tightを用いた烏口鎖骨靭帯再建術の骨孔についての術後X線評価 骨折 第40巻 No.3 2018
この文献ではZip Tightを用いた烏口鎖骨靭帯(CCL)再建術を行い、術後半年以上経過観察可能であった鎖骨遠位端骨折6例を対象に観察されています。
X線評価は永井ら(2012)を参考に骨孔の大きさを以下の様に評価されています。
→ほぼ閉鎖:grade1、縮小:grade2、ほぼ同等:grade3、拡大:grade4の4段階で評価
最終経過観察時の骨孔の大きさはgrade1が2例、grade3が1例、grade4が3例で、grade4の3例は半年までに骨孔が拡大し、以降はプラトーとなっていた。
また、grade1の2例は術後半年頃から骨孔が縮小傾向を示していたと報告しています。
最終経過観察時の肩鎖関節は骨孔が拡大した3例に軽度の亜脱臼を認めたとも評価しています。
この文献の症例では術後3週間の三角筋固定が行われていますが理学療法の介入やROMの記載等はありませんでした。
今回の報告を見ていると術後半年までに骨孔が拡大したのは3例でした。
またその3例の詳しい経過を見ていると骨孔が急激に大きくなるのは術後2カ月までで、その後は少しずつ拡大していく様子を確認出来ました。
このことからも術後2カ月、骨癒合がしっかり得られるまでは鎖骨骨折部にストレスをかけないようにしていく必要があるのではないかと思いました。
他の術式や報告も参考にし、臨床に活かしていきたいと思います。
投稿者:天鷲 翔太