変形性膝関節症の主な病態は関節軟骨の変性でありますが、内外側関節列隙の圧痛以外に鵞足部や膝関節後面などでの疼痛があり、前者だけでは説明がつかない疼痛を訴える症例が多いことが報告されています。
変形性膝関節症において関節痛を呈する部位の多くは滑膜炎との関係が深いと考え、造影MRIを用いて炎症性滑膜と疼痛部位について検討されました。
方法・対象
変形性膝関節症患者13名13膝
臨床所見における疼痛部位(鵞足部での圧痛があるか)
MRIによる炎症性滑膜の存在部位
を比較した
結果
鵞足部における炎症性滑膜の造影効果を認めるもの6例
鵞足部における炎症性滑膜の造影効果をわずかに認めるもの3例
鵞足部における炎症性滑膜の造影効果を認めないもの4例
鵞足部痛を認めるもの8例
鵞足部痛を認めないもの4例
造影効果と圧痛を認めるものは6例
造影効果、圧痛共に認めないものは4例
であったとも報告しています。
変形性関節症の疼痛原因については多くの原因が考えられますが、この文献で報告された炎症性滑膜はあくまで疼痛原因の1つであると考えられます。これらの原因も変形性膝関節症患者に考えられる1つの疼痛の原因と考え、これからの臨床に生かしていきたいと思います。
今後さらに知識を深め、症例の疼痛原因を考察し理学療法に繋げていく必要があると感じました。
投稿者:茂木 孝平