今回は胸腰椎圧迫骨折の予後不良因子を検討された文献を紹介させて頂きます。
久芳昭一他:胸腰椎圧迫骨折の臨床経過と予後予測.整形外科と災害外科.59(2).368〜371.2010
対象は胸腰椎圧迫骨折を受傷した男性15例、女性28例、平均年齢は73歳であり、VAS 50%以上の痛みの有無、最終観察時の椎体圧潰新効率30%以上の有無、後弯進行が10°以上の有無により2群化し、MRI(中野分類)にて後壁損傷の有無や年齢、性別、受傷時椎体圧潰率、受傷時後弯度との関連を検討されています。
結果は、疼痛持続郡と椎体圧潰進行群は後壁損傷を有する例と男性で有意差を認めていました。
後弯進行郡は後壁損傷を有する例で有意差を認めていました。
これらの他に、胸腰椎以降部の損傷はその他の部位での圧迫骨折に比べ優位に圧潰進行率が高く、疼痛持続郡においては有意に椎体圧潰進行率、後弯進行度が高かったと述べています。
腰椎圧迫骨折の受傷起点は様々ですが、臨床上よく目にするのは、高齢者の転倒や交通外傷などではないでしょうか。
観血的治療においては、椎体形成術や近年ではBKP(Balloon Kyphoplasty)などが行われています。保存療法の場合、コルセット装着による運動制限を設け、骨癒合を促すということになります。
保存療法を患者様が選択された場合、今回の文献での情報が予後経過観察の一つの指標になるのではないかと考えられました。
投稿者:高橋 蔵ノ助