田中直史 他:肩甲骨の加齢による可動域の変化についての検討.肩関節19(1):118-122,1995
目的は水平面の肩甲上腕リズムが加齢によってどの様に変化するかを検討するためです。
対象は3歳、5歳幼児46名、30代20名、60代23名です。
検討肢位はA:外転90°、B:水平屈曲90°、C:最大水平内転です。
A-B、B-Cに変化させた時の肩甲骨棘をなす確度を計測しています。
結果は以下の通りです。
(°) | AB | BC | AC |
幼児 | 79 | 16 | 95 |
30代 | 58 | 13 | 71 |
60代 | 51 | 7 | 63 |
その理由として「肩鎖、胸鎖関節の可動性低下」、「胸郭を構成する各関節自体の柔軟性の低下や肋軟骨の骨化による胸郭全体の硬化」が考えられると述べています。
実際のGHやSTの動きには個人差に加え、年齢という因子によって大きな差があることが明らかとなり、様々な疾患の成員を考慮する上で重要な現象と言えます。
肩関節周囲炎や腱板断裂などでもSTの可動性低下から肩甲骨周囲筋の筋力低下と合わせて、GHでの腱板の負担の増大が一つ契機になっていることが示唆されると考察しています。
変性した部分を運動療法で改善を図ることはできません。
可動域制限や疼痛にしても隣接している関節は拘縮していないか、それによって別の場所がハイパーに動き過ぎていないかなど局所以外にも詳細評価をしていく必要があると感じました。