今回はTHA後におけるカップ設置角の経時的変化を研究された文献を紹介させていただきます。
対象はTHA術後1年まで経過観察された36例を対象に、立位及び臥位でのPIA(pelvic inclination angle)と前方開角を術前および術後2週、3ヶ月、6ヶ月、1年で測定されておりそれぞれの相関を検討されています。また、PIAは北島らの、前方開角はLewinnekらの方法に準じて行われています。
結果、PIAは立位で術後減少し、臥位では立位に比べ減少値は低い結果となっていました。また、相対的に術後骨盤が後傾していることも示されていました。前方開角に関しては立位臥位ともに術後経時的に角度の増加を認めていました。
また、相関に関しては術前立位PIAと術後3ヶ月から1年での前方開角で正の相関を認めていたことから、術前立位でのPIAが大きい症例は術後前方開角の増加が大きいことが示唆されたと考えられます。
本研究は、術前X-rayから術後の変化を考察することが可能になるのではないかと言うことが筆者の目的ではないのかと考えられました。THAだけでなく、骨折症例などにおいても術前の画像所見は重要な所見の一つになります。THAを例に挙げると、病期分類やトリスの分類などによる変形性関節症の程度、二次性であれば臼蓋形成不全の程度を把握する上での重要な指標が挙げられます。
明日からの臨床では、再度術前や受傷時の画像所見にも目を光らせて、患者様の病態把握に努めようと思います。
投稿者:高橋 蔵ノ助