前十字靭帯損傷の受傷機転の一つでもある片脚でのジャンプの着地動作では膝関節が過度の外反をすると報告されており膝関節の外反運動とは下肢運動連鎖からみると足部回内・下腿内旋・大腿外旋が生じて行われる運動であり、足部回内の増加が下腿内旋を増大させることで膝関節外反角度が大きくなると述べられております。足部・足関節運動と膝関節外反運動に関係があることは周知の事実ですが、今回の報告では、足部を前足・後足部に分けて、片脚着地動作時の前・後足部の各々の運動が外反運動とどのような関係にあるのかを報告しています。
対象
20歳代の健常女性13名
30cm台からの片脚着地動作を確認動作解析には三次元動作解析装置と床反力計を用い、解析区間は足部接地から膝最大外反時まで計測
結果
膝外反角度変化量と後足部外反角度変化量では有意な相関が認められた。
前足部回内角度変化量やアーチ高変化量は有意な相関が認められなかった。
よって、後足部の外反運動が膝関節の外反運動に影響を及ぼしたと報告されていました。
膝関節の靭帯損傷や半月板損傷の症例では、受傷機転ではジャンプ片脚着地以外の動作を観察していても膝屈曲時に過度な外反運動が生じている症例は多いと報告されています。動作時に生じる膝関節の外反運動を防止する上で股関節・膝関節だけでなく、前・後足部運動を確認することの大切である事がわかりました。
片脚着地動作時の足部運動と膝関節外反運動の関係 理学療法科学 2016. 31(2);P227-231
投稿者 茂木孝平