本日は、肩峰下滑液包と烏口肩峰靭帯の神経終末の形態および分布について観察された論文を紹介させていただきます。
対象は肩腱板修復術を施行した腱板断裂15例(男性15名、女性4名、年齢51~72歳、平均58.5歳)です。対象からは摘出したのは腱板断端、その直上部の肩峰下滑液包、および烏口肩峰靭帯(肩峰付着部より全長の3分の1の領域)。断裂の種類は不全断裂4例、小断裂2例、中等度断裂5例、大断裂4例でした。方法は摘出した切片の面積を計測後、単位面積当たりの神経終末の数量を平均値で求められています。
結果ですが、腱板、肩峰下滑液包、烏口肩峰靭帯のいずれにおいても機械的神経終末や自由神経終末は存在していると示されていました。また、部位による自由神経終末の総数量の比較では烏口肩峰靭帯<腱板の関節腔側<肩峰下滑液包<腱板の肩峰下滑液包側の順で多く、自由神経終末は腱板の肩峰下滑液包側が最も多いと報告されていました。
病態や疼痛の発生機序を理解することは、疼痛に対して治療を行う上でとても大切だと思います。今回の報告から、腱板の肩峰下滑液包側や肩峰下滑液包には痛みの受容体である自由神経終末が多く、腱板断裂や肩インピンジメントによる疼痛に大きく関与していることがわかりました。肩関節痛についてもっと勉強して明日からの臨床に活かしていきたいと思います。
投稿者:小林 駿也