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整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2018年12月29日土曜日

【文献紹介】肩峰下圧の動態計測について

本日紹介させて頂く文献は肩峰下インピンジメント症候群に関する論文です。



橋下淳ら:肩峰下圧の動態計測.臨床スポーツ医学vol.15,No.3,1998:263-266


この論文では、肩関節に対して観血的治療を行った患者260人を対象に、麻酔下にて肩峰下滑液包内に圧計測用のバルーンカテーテルを挿入した状態で肩関節の運動(前方及び肩甲骨面上の挙上及び下降、下垂位内外旋、肩90度外転位での内外旋)を行い、その時の肩峰下圧の計測を行われています。


結果、前方挙上と肩甲骨面挙上では後者の方が変動は少ないが、ほぼ同様の圧変化を示し、80度から圧が高まり始め130度から最大挙上にかけて圧が高くなるとされています。

下垂位内外旋では圧はほとんど変動せず、90度外転位での回旋では外旋では圧はほぼ変化せず、内旋では圧が著名に変化し、前方挙上時の約2倍の圧がかかるとされています。

また挙上に関しては30%の症例に関節拘縮や腱板や肩峰下滑液包の癒着を認め、この群は、肩90度外転位での内旋時と同程度の圧上昇を認めたとのことでした。


考察では、肩峰下インピンジメントでは、最も病態の進行したとされる腱板断裂でも肩峰と骨頭が直接衝突している実証はなく、滑液包内の圧が変動するだけで、腱板が挟まれている可能性は少ないことが考えられるとしています。



この論文を通して考えると、インピンジメント症候群と診断されている症例のなかでも単に肩峰と上腕骨の衝突と考えるのではなく、どの組織の圧が高くなっているのか、その圧を高める要因がどの組織にあるのかを考えなければいけないと思いました。



投稿者:小林 駿也

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