今回は、尺骨茎状突起骨折の何も介入を加えずに放置していしまった症例についての文献を紹介します。
対象
橈骨遠位端骨折に尺骨茎状突起骨折を合併した14名(15肢)
方法
15肢を尺骨茎状突起の先端部骨折と基部骨折に分類
疼痛の有無
骨癒合
尺屈回旋テスト
ulnar variance
について調査しています。
結果
先端部骨折と比較して基部骨折は偽関節を生じやすく、疼痛も残存しやすい傾向にあると報告されています。
また、疼痛を生じる例では、3mm以上のplus varianceを持つか尺屈回旋テストが陽性であったと報告していま
す。橈骨遠位端骨折の画像所見として尺骨茎状突起骨折の有無は画像所見として着目します。しかし、骨折の
有無だけでなく部位についても観察して行く事が大切なのではないかと感じました。さらに、尺骨茎状突起の
周囲にはTFCCや尺側手根伸筋腱などの軟部組織も存在します。その点に関しても注意して評価する事が多節
なのではないかと考えました。
久枝啓史、萩原博嗣・他:橈骨遠位端骨折に合併する尺骨茎状突起骨折放置例の治療成績・整形外科と災害外科.2000.49(2):p481-484.