村田健児他:関節運動の変化が関節軟骨・半月板に及ぼす影響.理学療法.24.77−83.2017
本研究は、メカニカルストレスとなり得る膝関節の運動学的異常が軟骨及び半月板に与える影響を検証しています。
対象は6ヶ月齢のラット40匹を用いられ、ACLを外科的に損傷させ、前方引き出しが過剰に生じている群(以下ACLT群)、同じく外科的損傷後、脛骨の前方引き出しを制動した群(CAJM)、通常飼育群(CTR)の3群に分類されています。
これらの3群を、術後12週目に関節軟骨と半月板の変性について組織学的分析を行われていました。
結果は、術後12週ではACLT群で関節軟骨厚の減少や関節軟骨の変性、表層のフィブリン化が他の2群と比較し、著しく重症化していました。
半月板の接触エリアと非接触エリアで比較すると、ACLT群とCAJM群の2群では双方のエリアで変性を認め、大腿骨側と脛骨側両方で変性が認められました。また、半月板自体の変性も同様に、ACLT群とCAJM群がCTR群と比較して有意に構造的破壊を認めていました。
以上のことから、膝関節の不安定性がある場合、関節軟骨や半月板に正常よりもメカニカルストレスが負荷となり、変性の重症化を招くことが分かります。
今回の研究では、ラットを用いて、ACL損傷による脛骨前方引き出しが制動されない膝関節を想定し、関節軟骨や半月板の変性がどう生じるのかを検討されていました。
ACLは膝関節内靱帯であり、膝関節の安定性の多くを担っています。関節の安定性は靱帯のみではなく、筋や腱、関節包など多くの軟部組織によって関節の安定性は保たれています。このメカニカルバランスが、生体内の組織(今回の研究では関節軟骨や半月板)が機能しやすい環境を整えていると言っても過言ではないと思います。
しかし、軟部組織の損傷や機能不全、筋の滑走不全やtightnessが存在した場合、本来の関節運動から逸脱した運動を行い、組織の損傷に繋がることが考えられます。
私たちが理学療法を提供させていただく方には、術後の方だけでなく、保存療法を選択された方に対しても理学療法を提供させていただきます。
opeによる介入が行われない患者様の理学療法では、軟部組織のバランスを整えることが重要となります。問題となる軟部組織を特定する評価や、それらに対しての治療技術など、さらなる技術向上や知識の積み重ねが必要となることが、改めて感じられました。
今週末に整形外科リハビリテーション学会主催のシンポジウムが開催されます。
詳細は当学会京都支部のHPからも確認できますので、皆様のご参加お待ちしております。
また、その他開催予定の全国研修会の詳細も確認できますので、そちらの方もよろしくお願いします。
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投稿者:高橋 蔵ノ助