本日は拘縮肩におけるSAB内病変が運動時痛や可動域制限に及ぼす悪影響の割合をSAB造影検査を用いて評価検討された論文を紹介します。
対象は6ヶ月以上の保存療法でも軽快を認めず、関節鏡視下関節包切開術を必要としたFrozen phaseの拘縮肩群38例38肩です。(拘縮の定義:麻酔下90度外転位での最大外旋および内旋の可動域の合計が120度以下)また明らかな拘縮を認めず、SAB病変が主病変と考えられる肩峰下インピンジメントを認める95例95肩を非拘縮群とし比較対象とされています。
造影剤を含む局所麻酔剤をSAB内に注入されており、評価項目は運動時除痛効果(VASの改善割合)、造影剤注入前後の自動可動域と他動可動域の改善角度です。
結果、運動時除痛効果は拘縮肩群では平均59.9%、非拘縮肩群では平均79.9%得られ、拘縮肩群で有意に低い除痛効果が認められたと示されていました。また他動可動域では拘縮肩群で屈曲平均14.5度、外転平均22.1度の可動域改善が得られ、拘縮肩群で有意に高い可動域の改善を認めたと示されていました。自動可動域では可動域の改善は認めたものの両群間に有意差は認められていませんでした。
拘縮の有無に関わらず約60~80%の割合で疼痛の原因としてSABが関与していたため、SABの炎症所見や周囲組織の癒着など理学所見や画像所見から評価し、見落とさないことが疼痛や可動域制限の改善をする上で重要であると思いました。