本日は、腰部後根神経節の破格に関する報告を一部紹介させていただきます。
脊柱管には硬膜に囲まれたば馬尾が存在し、馬尾から各椎間孔に向かって神経根が走行します。椎間孔を出たふくらみを後根神経節(dorsal root ganglion 以下DRG)といい、ここには知覚受容器が豊富に存在しています。解部学の教科書で確認すると,DRGは正常では椎間孔の外に位置し,神経根が脊柱管内でうけるようなさまざまな圧迫から護られているのがわかります。
プロメテウス解剖アトラスより引用
このような解剖学的構造から外側ヘルニアは一般的な椎間孔内ヘルニアと比べて疼痛がきわめて強く、オペになるケースも多いとされています。
しかし、DRGの位置は一定ではないという解剖学的研究が散見されます。
ご遺体でDRGの位置について調査された解剖学的研究では、L5神経根のDRGは内側に偏位し、その吻側端は脊柱管内に位置しており、また、S1神経根のDRGは脊柱管内に位置している例があったと報告されており末梢ほどDRG 頭側に偏位する傾向にあるものの、L5神経根では局在のバリエーシ ョンが著明であったとされています。
このような場合には脊柱管内ヘルニア, 脊柱管狭窄などによってもDRGが圧迫をうける可能性があります。
実際に腰椎椎間板ヘルニア症例の理学療法を担当する中で、椎間孔内ヘルニアや外側ヘルニアでも疼痛の程度は様々であり、一般的な教科書にあてはまらないケースを多く経験します。
MRI冠状断像はDRGの位置もとらえることができるので病態把握をする上で確認する必要があると思います。
本日はDRGの破格に関する論文を紹介しましたが破格に対して理学療法士が何かできるわけではありません。
しかし医師と共通認識をもって病態を把握しているということが大切だと考えます。病態を把握しているということは、理学療法でよくできるもの、できないものも明確になるため自ずと何をすべきか、何ができるのかを考えるようになります。
解剖について今後も勉強していきたいと思います。
投稿者:大渕篤樹
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