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整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2019年1月8日火曜日

【文献紹介】棘下筋腱の肉眼解剖および組織学的研究- delaminationの発生部位の検討-

本日紹介させていただく論文は棘下筋の構造を肉眼解剖と組織学的調査によって明らかにし、棘下筋断裂に伴うdelaminationがどの層で起こっているかを検討されています。



 対象は解剖実習体27肩において棘下筋の筋形態、腱性部の停止形態を観察し、また棘下筋を一塊として肩甲骨起始部と上腕骨停止部から切離した後、肉眼解剖と組織学的調査を行われています。組織学的調査においては棘下筋の筋腱移行部と上腕骨停止部を中心に組織切片を作製し、棘下筋の層構造を解析されています。

結果を以下にまとめました。
肉眼観察より棘下筋は筋線維の走向に注目すると横走部と斜走部の境界は明瞭で容易に分離でき、筋組織である内側は連続していたが、腱組織で構成される外側では独立していた。斜走部からは厚い腱組織が連続しているのに対し、横走部には薄い膜状の腱組織しか存在しなかった。斜走部の腱組織は上腕骨に到達していたが、横走部の腱膜は上腕骨まで到達せず、斜走部の腱組織上に停止していた。
組織学的所見より棘下筋遠位における筋性部の横断面では横走部の筋組織と斜走部の筋組織が腱組織の上を覆っており、斜走部の筋組織には腱線維が入り込んで腱組織との連続性を観察できたが、横走部の筋組織内には腱線維を認めなかった。棘下筋遠位における縦断面の組織所見では斜走部の腱線維が層状をなして上腕骨停止部までのびており、その上に横走部の腱膜が停止していた。横走部の停止部は斜走部の上腕骨停止部から3cm 以上離れていた。横走部の最遠位部においては筋線維と腱線維が混在しており、斜走部に見られるような太い線維束を認めなかった。

考察で著者は棘下筋断裂におけるdelaminationが横走部と斜走部の間で起こっているのではなく、斜走部から連続する腱性部内で起こっている可能性が高いと推察されていました。

解剖の知識を深めることは病態解釈や触診・評価・治療技術を高める上で大変重要だと思います。知識だけで終わらず、日々の臨床で患者さんに還元できるよう自分の技術として身につけて高めていきたいと思います。

投稿者:佐々木拓馬

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