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整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2019年1月12日土曜日

【文献紹介】棘上筋から棘下筋に向かう表層繊維について

 棘上筋の表層繊維は棘上筋腱性部から起こり、棘下筋腱前外側部の表面を覆い大結節後方に向かって走行すると報告されています。本日紹介させていただく論文は非腱板断裂肩と腱板断裂肩の棘上筋の表層繊維について詳細に観察されています。



対象は解剖実習体の非腱板断裂肩70肩と腱板断裂肩12肩です。まず非腱板断裂肩において棘上筋の腱性部から延びだして棘下筋を交差し後方へ走る表層繊維の頻度を調査し、続いて腱板断裂肩の断裂の大きさと関連して表層線維の有無やその形態について調査されています。

結果です。非腱板断裂肩の89%に棘上筋の腱性部から延びだして棘下筋を交差し後方へ走る表層繊維が認められ、扇状に棘下筋腱前外側部の表面を覆うものや棘下筋を乗り越えて大結節後方まで延びているものが観察できたと報告されていました。一方、腱板断裂肩では7肩で断裂部後縁に接して棘上筋腱性部から棘下筋を交差して後方に向かって走る太い繊維束が確認され、この繊維束の下面には棘下筋の大結節付着部が認められたと報告されていました。

 7肩の腱板断裂肩で認められた断裂部後縁に接して棘上筋腱性部から棘下筋を交差して後方に向かって走る太い繊維束は非腱板断裂肩でみられた棘上筋の表層繊維と相同する位置にあるため表層繊維が変性し肥厚したものだと考察されていました。また棘上筋表層繊維は繊維走行が棘下筋の張力方向と直交するため、後方や内側に拡大していく腱板断裂に対して何らかの抑制効果がある可能性があると推察されていました。

 詳細に解剖を理解することで評価項目や病態を推察または解釈する引き出しの数が増えると思います。もっと知識量を増やして日々の臨床に役立てたいと思います。

投稿者:佐々木拓馬

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