本日紹介させていただく文献はラットを用いて関節拘縮を組織学的に検討された文献です。
渡邊晶規他:組織学的見地からの関節拘縮の病態と徒手理学療法.徒手理学療法14(2):51-57,2014
今回はラットの膝関節を固定し、関節拘縮を作成した後に拘縮後の組織学的な変化と理学療法介入後組織学的変化を検討しています。
固定期間は2〜32週です。
結果は関節拘縮における組織変化は2週後より確認されました。
関節包における疎性結合組織から密性結合組織への変化・脂肪組織の線維化、軟骨と増生組織の癒着、関節腔内の狭小化を認めました。
徒手療法は持続伸張とモビライゼーションによる介入で検討されています。
2週間固定後の関節拘縮に対する持続伸張では可動域の改善はありませんでしたが、後方関節包の組織学的変化を認め、関節包に対する治療において持続伸張が有効であると述べています。4週間固定後の関節拘縮に対するモビライゼーションでは可動域改善を認めましたが、、組織学的変化は認めませんでした。これらの結果から筆者らは単に持続伸張のみでは改善が得られないと考え、8週間固定後の関節拘縮に対してモビライゼーションを行いました。これによりコラーゲン線維束間の間隙の拡大と脂肪変性の改善が得られたと報告しています。
今回の文献から、2週までの関節包の拘縮においては持続伸張が有用であること、さらに長期に渡る関節包の拘縮においてはモビライゼーションが有用であることがわかりました。関節拘縮が生じてから治療開始までの期間、拘縮の責任組織、これらに対する適切な治療選択が必要になるた、臨床においてしっかり見極めて適切な治療を行なっていきます。
Staff profile
COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大予防に対する対応について
整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。
人気の投稿
-
今回は肘関節周辺骨折に続発した外傷性肘関節拘縮に対して関節授動術を行い、その拘縮の原因について検討された論文を紹介させていただきます。 症例は外傷性肘関節拘縮のため関節授動術を行った 8 例 8 肘です。初回手術から 6 ヵ月以上経過し、骨癒合が得られて十分な可...
-
本日はアキレス腱断裂術後リハビリテーションの考え方について報告している文献を紹介させていただきます。 園部俊晴 :アキレス腱断裂の術後リハビリテーション.Sportsmedicine 2015 No.172 アキレス腱断裂術後の...
-
文献紹介 大腿骨転子部骨折において後外側支持欠損が lag screw sliding に与える影響 (徳永真己・他 : 骨折 第35巻、98-102、2013) 大腿骨転子部骨折をshort femoral neck (SFN) で...
-
本日は Bertolotti症候群について紹介させて頂きます。 Bertolotti症候群は1917年にBertolottiが提唱した症候群であり,最尾側の腰椎横突起が肥大し仙骨との 間に関節を形成,あるいは骨癒合した症例に腰痛が生じる症候群とされています。 ...
-
してない方。 した方。 どうですか!!この団野先生のどや顔。笑 あっ!ではなくて、この内旋可動域の違い!! これは、タイトルにもあるように、 外閉鎖筋 のみリラクセーションした方としていない方の違いです。 ちなみに、実際にリラクセー...