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整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2018年11月2日金曜日

【文献紹介】上肢前方挙上時の肩甲骨傾斜運動に関する動態学的研究

本日紹介させていただく文献は上肢前方挙上時の肩甲骨傾斜運動に関する動態学的研究です。


塚本芳久:上肢前方挙上時の肩甲骨傾斜運動に関する動態学的研究-烏口肩峰アーチとの関係-.リハビリテーション医学27(1),1990:59-64

上肢前方挙上の肩甲骨の動きを分析する研究の一環として前方挙上時における肩甲骨下方傾斜量と肩峰傾斜角との関係について検討することを目的としています。
対象は健常成人30名です。上肢挙上角度は30,60,90,120,150,180とし、これらの肢位でX線撮影を行い肩甲骨下方傾斜変化量(肩甲骨後傾量)と肩峰傾斜角(開始肢位の挙上30°で計測。矢状面からみて水平線と肩峰下面とを結ぶ角度)を計測しています。
結果は肩甲骨下方傾斜変化量30〜180°までの挙上で4.0〜19.0°下方傾斜していました(平均12.4±3.5°)。肩峰傾斜角は10.0〜51.0°平均12.4°±3.5°に分布していました。これら2つの間には負の相関関係が得られたと報告しています。
肩甲骨下方傾斜最大変化量と肩峰傾斜角の関係は肩峰傾斜角が小さいほど肩甲骨下方傾斜最大変化量が大きい傾向がにあり、このことは上肢180°前方挙上するためにはある水準まで肩峰の傾きが大きくなる必要があることが考えられたと述べています。
肩峰傾斜角とsubacrominal rotator cuff impingementとの関係についても述べられており、過去の報告から肩峰傾斜角の傾きが小さいものはsubacrominal rotator cuff impingemenetが出現する可能性が高まることが分かっています。今回の結果からも肩峰の傾きが小さいものは上肢挙上時に大きな肩甲骨下方傾斜の動きを要すると考えられると述べています。

本日紹介させていただいた文献からも挙上に伴い肩甲骨が後傾することは可動域獲得に重要であることがわかりました。
今回は後傾にのみ着目して報告されたものでしたが、3次元的な動きを理解する必要があり、その他の運動方向で検討されたものについても調べていく必要があると感じました。


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