本日は腰椎椎間板ヘルニアにおける股関節の回旋可動域についての研究を紹介します。
この研究では、LDH患者の股関節回旋ROMを屈曲位と伸展位で測定し、股関節回旋ROMとLDHとの関係性について検討を行っています。
対象者は健常者男性21名(年齢:31.8±6.3歳)とLDHと診断され、LDHの疼痛によるROM測定不能な者を除外した男性患者(以下、LDH群)21名(年齢:34.3±10.3歳)です。
結果は以下の通りです。
1.股関節屈曲位での比較
1)内旋
平均は健常群29.0°、LDH群健側23.3°、患側18.3°であり、健常群と比較し、LDH群の健側・患側ともに有意に低下していた。
2)外旋
平均は健常群46.3°、LDH群健側46.9°、患側47.3°であり、健常群、LDH群に有意差は認められなかった。
2.股関節伸展位での比較
1)内旋
平均は健常群35.0°、LDH群健側25.4°、患側26.4°であり、健常群と比較し、LDH群の健側・患側ともに有意に低下していた。
2)外旋
平均は健常群48.5°、LDH群健側39.0°、患側38.1°であり、健常群と比較し、LDH群の健側・患側ともに有意に低下していた。
股関節屈曲位と伸展位では回旋可動域に大きく変化がみられています。
LDH患者さんに対して動作時の腰部へのメカニカルストレス軽減のためには、股関節回旋ROMを改善することは重要と考えます。梨状筋など股関節肢位により作用ベクトルが変化する筋もあります。そのため回旋可動域を制限している軟部組織を正確に特定するために股関節肢位を変えて評価することを今後も意識していこうと思います。
投稿者:大渕篤樹