君塚葵:足の生体力学.日本関節外科学会誌Ⅳ(1),1987:75〜85
新鮮切断肢を用いて検討されています。
中間位での荷重時接触面積を測定しています。
その結果、前方部分と外側部分が接触し、内後方は接触しないことがわかりました。
圧センサーシートを用いて圧分布を測定した検討では、最大応力は中央付近にあることがわかりました。
距骨が転位した状態の接触面積についても述べられています。
過去の報告ではRiedeは距骨が1mm内方あるいは外方に転位するか、1°内反あるいは外反すると接触面積は50%以上減少、Martinekは腓骨骨折のわずかな転位でもAnkle mortiseを変化させ、関節面の3mm以上の転位では50%以上接触面積が減少すると報告しています。
関節軟骨はfunctional stress部で厚さが増すとされているが、距骨滑車面では前方部と中央部で最も厚いことがわかり、内外側で比較すると前方と中央部では内側が後方部では外側が厚い傾向にあると報告しています。
距骨滑車面の肉眼的観察では粗造化、ビードロ状化、欠損を前方と内側により多くに認めると述べています。
今回紹介させていただいた文献から中間位では距腿関節は前方と内側にて軟骨面が接触していることがわかりました。
これは立位時に接触する軟骨面の状態とも関わることが考えられ、天蓋部分での骨折や距骨軟骨損傷などにおいて荷重を行うときに念頭に置いておきたい知識であると感じました。
また小さな転位でも距腿関節面の接触が50%以上減少することがわかりました。骨折による転位以外でも、距腿関節の不安定性が生じると軟骨の接触面積は変化してくることが考えられ、OA changeさせないためにも関節の安定性の獲得は重要であると再認識しました。