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2016年6月26日日曜日

【文献紹介】五十肩の痛みのメカニズムについて

本日紹介させていただく文献は五十肩のメカニズムについて検討した文献です。


土井順二他:五十肩の痛みのメカニズムについて.肩関節19(1):108-111,1995


今回紹介させていただく文献ネコの肩関節に五十肩モデルを作成し、五十肩の痛みのメカニズムについて検討しています。

成熟ネコ6匹6肩を用いて行われました。関節包の前方より関節内にブラジキニンを注入し、棘上筋、肩甲下筋、棘下筋、三角筋、僧帽筋の反射活動を筋電図を用いて検討しています。反対の肩には生理食塩水を注入してありました。
結果は全例において棘下筋、棘上筋、肩甲下筋においてブラジキニン注入後の1~6秒後に大きな筋収縮(短潜時反応)が認められ、続いて注入から16~27秒後に反復放電(長潜時反応)が出現しました。三角筋、僧帽筋に関しては注入後1~4秒後に短潜時反応のみ出現しました。また生理食塩水を注入した反対の肩では注入後3~4秒後に短潜時反応のみ出現し、その後長潜時反応は見られませんでした。
今回の検討でみられた肩関節周囲筋の収縮は、ブラジキニンによる炎症刺激に反応した反射性収縮ではなかと筆者は述べています。炎症が生じると関節包の侵害受容器が発痛物質に反応
し侵害受容線維を介して脊髄にインパルスを送る.脊髄反射により運動神経を興奮させ棘上筋,肩甲下筋が持続性の筋収縮を生じたと筆者は考えています。

加齢に伴う退行性変性、外傷等の何らかの原因により肩関節包に炎症
棘上筋,肩甲下筋の筋収縮
炎症が長期化
筋収縮は持続的となり筋肉が虚血状態になる
筋線維内に発痛物質が産生
筋肉自体が痛みが出現
筋肉内の侵害受容器を介する脊髄反射により筋収縮を助長


今回の検討から筆者は上記のようなメカニズムで肩関節に痛みが生じると述べています。


疼痛の長期化は痛みを助長し拘縮をもたらす一要因となるため、早期に反射性収縮はとりきる必要があると感じました。

投稿者:堀内奈緒美

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