今回は変形性膝関節症における鵞足部痛について検討された文献を紹介させていただきたいと思います。
松岡ら:変形性膝関節症における滑膜の造影MRI所見 中部整災誌 2003;46:1109-1110
変形性膝関節症の主な病態は軟骨変性であるが、実際の臨床では内外側関節列隙の圧痛以外に鵞足部や膝関節後面などがあり、関節軟骨の変性だけでは説明がつかない疼痛を訴える症例が多いことが冒頭で記載されています。
私が担当させていただいている症例でも同じような所見があり、気になる点であったため紹介させていただきたいと思いました。
筆者らは変形性膝関節症において関節痛を呈する部位の多くは滑膜炎との関係が深いと考え、造影MRIを用いて炎症性滑膜と疼痛部位について検討されました。
変形性膝関節症患者13名13膝の臨床所見における疼痛部位(鵞足部での圧痛)とMRIによる炎症性滑膜の存在部位とを比較されたそうです。
結果としては鵞足部における炎症性滑膜の造影効果を認めるもの6例、わずかに認めるもの3例、認めないもの4例であったと報告しています。
また、鵞足部痛を認めるもの8例と認めないもの4例で、造影効果と圧痛を認めるものは6例であり、造影効果、圧痛共に認めないものは4例であったとも報告しています。
私自身、変形性関節症の疼痛原因について悩むことが多々あります。この文献でも述べられていますが、炎症性滑膜はあくまで疼痛原因の1つであると考えられます。
今後さらに知識を深め、症例の疼痛原因を考察し、理学療法に繋げていく必要があると感じました。
投稿者:天鷲翔太