本日はTKA後に深屈曲を行った際に確認された膝前面痛に対して、鏡視下脂肪体切除を施行した効果についての文献を紹介します。
東 隆司・他:TKA術後膝前面痛に対する鏡視下脂肪体切除の効果
日関外誌 2005.14(2);p147-152
対象はTKA後に膝関節屈曲120°以上獲得しており膝前面痛を生じる8例8膝としています。手術方法は外側膝蓋下に皮膚、関節包切開を加え、シェーバーを挿入し瘢痕化した膝蓋下脂肪体を切除しています。
結果ですが、鏡視下の所見として膝蓋下脂肪体の発赤、線維化、肥厚が認められ膝蓋骨と脛骨コンポーネント間でインピンジメントが確認されたと報告しています。また、膝蓋下脂肪体の切除後に全例で膝前面痛は消失し、関節可動域の減少も認められなかったとしています。
膝蓋下脂肪体には、固有受容器や自由神経終末が存在し、膝関節における疼痛の原因となることが知られていますが、今回紹介させて頂いた文献によって、改めて膝蓋下脂肪体を考慮した理学療法を行う必要性が感じることができました。さらに、屈曲時のみでなく伸展時における膝蓋下脂肪体のインピンジメントについても学習していこうと思いました。