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整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2016年6月12日日曜日

【文献紹介】DRUJの不安定性について

本日は橈骨遠位端骨折後のDRUJの不安定性について検討した文献を紹介させていただきます。


岩部昌平他:橈骨遠位端骨折に伴う遠位橈尺関節支持組織の損傷様式と不安定性:骨折 28(4): 647-651, 2006


今回紹介させていただく文献は橈骨遠位端骨折に伴うDRUJ支持組織の橈骨手根関節外部分の損傷を観察することを目的に検討を行っています。
対象は2004年4月~2005年5月までの間で観血的治療を行った橈骨遠位端骨折33例です。麻酔下でDRUJの不安定性があることを確認し、DRUJ支持組織の尺側要素を観察しています。可及的にすべての損傷を修復し、修復後に不安定性を再度確認しています。観察した支持組織は尺骨茎状突起、三角靭帯、尺側側副靭帯、尺側手根伸筋腱鞘、掌側関節包でした。
結果は、尺骨茎状突起、尺側側副靭帯、三角靭帯、尺側手根伸筋腱鞘に効率で損傷が確認されました。尺骨茎状突起には尺側側副靭帯と三角靭帯が付着するため、尺側側副靭帯、三角靭帯、尺側手根伸筋腱鞘の三要素の損傷がDRUJの不安定性に大きく関与していることが考えられると筆者は述べています。
しかし、今回の検討の中で不安定性が確認された症例の中で三角靭帯損傷がない、または部分損傷であった者が5症例みられた一方で、尺側側副靭帯損傷がなかった症例は1例、尺側手根伸筋腱鞘損傷がなかった症例が3例であり、三角靭帯だけがDRUJを支持しているのではないことが示唆されました。またこれを裏付けるものとして、支持組織の修復において三角靭帯のみではDRUJの安定性を得ることができず、尺側側副靭帯、尺側手根伸筋腱鞘の修復を進めていく中で不安定性が減少していったと報告しています。これら三要素の修復によりDRUJの不安定性は確実に減少すると筆者は述べています。


橈骨遠位端骨折後の患者に対しどのような外力でどこの組織が損傷しているかを予測し、その組織が損傷していると何が生じるかしっかり考えて理学療法を展開していく必要があります。まだ解剖の知識が甘く見きれていない部分があると思います。さらに知識を深め、適切な理学療法を行えるように勉強していきたいと思います。

投稿者:堀内奈緒美

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