戸田、菅野 他:健常成人における関節窩面に対する棘上筋筋内腱の走行に加齢変化が
及ぼす影響 臨床バイオメカニクス 2015. 36;p1-6
・対象は20~40歳代の健常男性15名30肩。
・測定項目は以下の4つです。
①肩甲骨水平面における棘上筋筋内腱の走行と関節窩面の成す角(SFA-AP)
②肩甲骨の形態学的特徴である肩甲骨関節窩傾斜角
③肩甲上腕関節アライメントを表現する肩甲上腕関節内外旋角
④肩甲骨面に対する骨頭の前後変位量
・結果、40歳代以降の対象者において、棘上筋筋内腱の走行は関節窩面に対する後方への傾きが減少することが示されていました。この結果に対して筆者らは棘上筋の骨頭に対する後方剪断力成分が減少し、骨頭前方変位に対する動的安定化機構の一要素が加齢に伴い力学的に不利な構造になる可能性があると述べられていました。
対象者は若く年齢の幅が限られていること、また安静時での画像から得られた結果なので、動的な骨頭の前後剪断力の評価が正確に行われているかという点には考慮する必要があると思いますが、臨床の中で骨頭が前方変位している症例を多く経験しますので、今回の結果を病態把握の参考に、日々の臨床に励みたいと思います。
投稿者:佐々木拓馬