小林ら:肩腱板断裂における肩甲骨の位置異常の特徴 肩関節2008 第2号32巻
対象は肩腱板断裂に対して手術を施行した100例100肩であり、腱板の断裂サイズはDeOrio&Cofieldの分類に従い術中所見で判断しています。肩甲骨の位置に関してはX線で肩甲骨側面像から肩甲骨窩下端と肩甲骨下角の最下端とを結ぶ直線とそれぞれに対応する肋骨を結んだ直線との角度を肩甲骨傾斜角度と規定し、2直線が肩甲骨の下方で交わるものを後傾群、上方で交わるものを前傾群と2群に分けています。この2群を術前の可動域(屈曲、外転、下垂位外旋、外転位90°内・外旋)と術前筋力(屈曲、外転、下垂位外旋)および術中の腱板断裂部の最大径の各項目について解析しています。
結果ですが、可動域では外転位内旋角度が後傾群で有意に小さく、筋力は全ての項目で後傾群が有意に低下しており、また後傾群の方が前傾群よりも腱板の断裂は大きかったと報告しています。
今回の報告は手術適応になった腱板断裂症例に対して肩甲骨の位置をX線から評価をし、後傾群では断裂サイズが大きく、筋力の低下が見られたとしています。肩甲骨の位置の評価は病態を把握する上でとても重要な要素であると思います。また画像評価から推察した病態に対して理学所見と照らし合わせることでより明確な病態を把握できるので、今回の報告も画像評価をする上で参考にしていければと感じました。
投稿者:服部隼人