本日は、X線透視画像および三次元コンピュータモデルを用いた生体内動態解析による
肩関節外転運動における上腕骨頭偏位量を検討した論文を紹介させていただきます。
西中、筒井 他:X線透視画像および三次元コンピュータモデルを用いた生体内動態解析
による肩関節外転運動時の上腕骨頭偏位の検討 関節外科 2009. 28(11);p42-46
対象は平均31.1歳の健常者10肩(男性8例、女性2例)。座位にて肩甲骨面上での自動外転運動(内外旋中間位)を下垂位から150°までをX線透視像で撮影されています。上腕骨頭の偏位量は骨頭表面と関節窩面状に規定した平面上の長軸方向における距離から算出されています。
結果ですが、下垂位では関節窩中心点よりも上腕骨頭中心は1.7mm下方に位置しており、外転とともに徐々に上方偏位して外転80°以降では上腕骨頭中心は関節窩中心点の下方1mm以内に推移、120°以降では上腕骨頭と関節窩の中心点はほぼ一致していたと示されていました。この結果に対して、外転運動に伴い骨頭は関節窩の中心に向かって上方偏位し求心位をとって安定性を高めていると考察されていました。
上腕骨頭の関節窩に対する偏位についての研究はこれまで多くなされており、測定姿位(臥位や座位)や挙上方法の違いによって結果は異なると記されていました。評価を行う際は姿勢にも注意して、骨頭が関節窩に対して求心位をとりやすくなるように今回の結果を参考に明日からの臨床に励みたいと思います。
投稿者:佐々木拓馬