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整形外科リハビリテーション学会は、オンライン開催または感染対策を徹底した上でのハイブリッド開催により、定例会、学術集会、特別講演会、シンポジウムを開催して参ります。なお、技術研修会につきましては、再開の目処が立っておりません。理事会の決定があり次第、ウェブサイトならびに当ブログにてご報告させて頂きます。

2018年12月25日火曜日

【文献紹介】膝関節屈曲動作時の膝周囲の皮膚の伸張性について

今回は、膝関節屈曲動作時に皮膚組織がどれだけ伸張されているのかを研究された文献を紹介させていただきます。


和田直子他:膝関節屈曲動作時の膝周囲の皮膚の伸張性について.関西理学.1241-442012


対象は整形外科学的および神経学的に問題がない健常者30名の右下肢を用いて行われており、それぞれの膝関節に伸展位にて脛骨粗面から膝蓋骨尖までの距離を基準距離とし、計5か所にマーキングを行い、足底が床面に接した状態で膝関節を他動的に屈曲30°位、60°位、90°位、120°位、150°位、最大屈曲位と設定されていた。また、それぞれの角度による皮膚の伸張性を測定されていました。また各部位において以下のように伸張差と伸張率を算出していました。

         伸張差(各屈曲角度間における距離の差)(mm
         =(求める屈曲角度での距離)-(求める屈曲角度-30°の屈曲角度での距離)
伸張率(伸張差を基準距離と比較した割合)(%
     =伸張差/基準距離×100

結果は、各々の角度で皮膚の伸張は見られたが、全ての部位(大腿部、膝蓋上嚢、膝蓋骨部、膝蓋靭帯部)において屈曲から30°で有意に皮膚の伸張率が増加したと述べています。


膝関節周囲の疾患に対しての手術を施行した際、可動域制限の一つとして、皮膚の伸張性が挙げられる場面も多々あると思います。今回の研究から、どの肢位で皮膚の伸張性が得られやすく、アプローチする軟部組織を明確にすることで皮膚の伸張性の低下が防げるのではないかと考えました。


皮膚組織の拘縮予防は、術後急性期に行う重要な理学療法の一つと言っても過言ではないでしょう。皮膚や皮下組織の拘縮はROMの制限因子になる可能性が大きいため、今回の文献で皮膚組織の拘縮予防の重要性が再確認できました。




投稿者:高橋 蔵ノ助

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